【文スト】伝え愛 2【中原中也】

ずっと ページ42

恐らく、屹度、今日が人生で1番最悪の日だ



「もうやだ…」



下を俯きながらじんじんと痛む足を動かす


大学からの帰り道、何時も綺麗な夕日も、今日は霞んで見える




────先ず、朝、目覚ましが鳴らず、真逆の中也も起こしてくれず、30分遅れて起床


それを切っ掛けに中也と喧嘩、散々言いたい放題言い散らかして、私は家を出ていってしまった


何時もより遅い電車の為、女性車両も飽和状態で、満員電車に乗り込む


大学になんとかついたが、忘れ物をして恥をかく


やっと落ち着いて昼食


期間限定のランチセットが売り切れる


午後の講義の終わり、必死で書いて出した自信作のレポートの評価が悪くて落ち込む


帰り────またもや満員電車、痛む足




以上が今日の不運な出来事の有様である


漫画か、というほど作られたかのような悪循環





疲労とイライラで足も痛いが頭も痛い






「……朝、でも中也に怒鳴っちゃった」






そう、1番胸に引っかかるのは、彼に対して怒鳴ってしまったことだ


起きれなかったのは自己責任、そんなのはわかっているのに、思い切り怒ってしまった




(────だって、朝起きて、しばらく経っても言ってくれないんだもの)






"A、誕生日おめでとう"





って





屹度、朝からそれが悲しかったんだ


悲しみを隠す為に、私は中也に怒鳴って、怒ってしまった






「帰ったら謝らなくちゃ…」






(でも、私の誕生日、忘れちゃったの？)




許してくれるだろうか、忘れてしまったのだろうか、そんな不安が心中をぐるぐると渦巻き、Aは押し寄せる懸念の波に飲み込まれた

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