おいでませ、温泉旅行 7 ページ40
「…てて、」
布団に横になり、頭を抑える中也を、縮こまって見下ろすAという、先程とは逆転した展開になっていた
「あのなぁ!断固拒否しなくたっていいだろ!」
初めて手前に断固拒否された…と落ち込む中也に、Aは「ご、ごめん…」と呟く
そう、先程中也はAに断固拒否され、壁に思い切りぶつかったのだ
その音に、驚いた森達が様子を見に来たという
目を瞑って黙り込んでしまう中也の服を掴み、Aは重い口を開いた
「あ…、あのね、言い訳聞いて?」
控えめなAの態度に、中也は「…おう」と起き上がって答える
真正面に見つめられ、下を俯きながらAは話し出した
「中也に、いっぱいちゅーされて」
「おう」
「その…、少女漫画みたいな展開になっちゃう、と思って」
「…おう」
「えと、中也とそういう関係になりたくないわけじゃない、…むしろなりたかったりする、けど…」
嗚呼、話していて、本当に恥ずかしい
きっと自分の顔は真っ赤なんだろう
でも、話さなくては伝わらない
「…まだ、色々と準備出来てないっていうか…
あの、ヴァージンロード歩けなくなっちゃうし…!」
バッと、顔を上げてそう言うと、中也は口元を抑えて笑っていた
「…え?」
「…ククッ、いや、おま、考え方ふるっ、ふ、ふ」
笑いを堪える中也に、Aは別の羞恥で顔が赤く染まる
「だっ、だって!だって!」
しかし、反論の余地がなく、声を荒らげると、「あ────…、手前可愛すぎかよ」なんて、声がして
ぎゅ、と逞しい腕に抱き締められた
密着する身体、中也特有の匂いに、胸がドキドキと高鳴る
言葉を発せないでいると、ふと中也が呟いた
「…俺さ、手前が思ってるより紳士じゃなくて」
なんのことやら、?マークを浮かべると、中也はくつりと笑う
「いっつも、手前に触れることばっかり考えてンだぜ?」
思いも寄らないカミングアウトに、Aの身体は熱を持つ
「…だから、さっきみたいなことしちまったけど────手前の準備ができるまで待つ」
優しい声音に顔を上げると、中也は細めた瞳で此方を見つめていた
「…中也」
胸がきゅっとなって、名前を呼ぶと、中也は突然に悪戯な笑みを浮かべた
「結婚したらいんだろ?なんならすぐ籍に入れるか?」
冗談めかしく言う中也に、Aは声を上げる
「ロマンチック無さすぎ!」
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みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時