おいでませ、温泉旅行 6 ページ39
風呂を出て、尾崎達と部屋に向かったAは目をぱちくりとさせた
「…え?」
部屋を開ければ、「よ」と手を挙げる中也の姿
固まるAをニコニコと森達は見つめると、態とらしく声を上げた
「さぁて、私達は私達で過ごそうか」
「そうじゃのぉ、鴎外殿」
パタン、扉が締まり、3人の声が遠のく
「ふぇ…、え?」
あたふたし始めるAに痺れを切らし
グイ、と中也はAを引き寄せた
振り向き際の中也の顔は────これまでにないほど、真っ赤
「…いつまで突っ立ってンだ
────今日は二人きりだ」
耳元で囁かれ、頬に熱が集まっていく
「…う、うん」
赤くなった頬を覆うように頷いてから、Aは部屋に入った
部屋で豪勢な食事を食べた後、Aは窓際の椅子に腰掛けた
一方で、中也も黙り込んでいる
家で二人きりなら有り得ない沈黙の中で、自分の鼓動の音のみが響く
(…どうしよう)
未だに今の状況に頭が追いついていなかった
森とエリスと尾崎は別の部屋に行ってしまった────つまり、今夜は中也とこの部屋で過ごすのだ
(中也と、二人)
家にいるときは意識しないほど意識してしまう
緊張で話しかけることも出来ず、外を眺めるふりをしていると、ふと声が掛けられた
「なァ、A」
静かな声音に、Aはゆっくり中也の方を向いた
中也は、いつもよりちょっと大人っぽい笑を浮かべて、手を広げていた
「こっち、来いよ」
Aは立ち上がり、そっと中也の前に正座する
「…にやってんだよ、ほら」
もっと近く、と顔を近づけられ、反射的に逃げようとして────
とさり、
敷かれた布団の上に、倒れ込んでしまった
「…あ」
此方を見下ろす蒼色の瞳と目が合ったかと思えば、中也は顔の横に腕をたてて覆いかぶさった
「…へ、あ、」
間抜けな声を出すAにクスリと笑うと、中也はそっと首筋に口付けを落とした
ちゅ、ちゅ、と音を立てて口付けられ、触れられたところが熱を帯びていく
静かに愛情を受けながら、殆ど回らない思考の中でAは必死に考える
(これって…、少女漫画の展開…!?)
どうしよう、と思う内にも、中也の口付けは止まらない
お互いの息が荒くなっていき、中也の手が太腿に触れたとき、Aの羞恥は限界を越え
「〜〜〜ッ!!」
声にならない声を上げて、Aは中也を断固拒否した
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みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時