検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:72,217 hit

おいでませ、温泉旅行 6 ページ39

風呂を出て、尾崎達と部屋に向かったAは目をぱちくりとさせた


「…え?」


部屋を開ければ、「よ」と手を挙げる中也の姿


固まるAをニコニコと森達は見つめると、態とらしく声を上げた


「さぁて、私達は私達で過ごそうか」


「そうじゃのぉ、鴎外殿」


パタン、扉が締まり、3人の声が遠のく


「ふぇ…、え?」


あたふたし始めるAに痺れを切らし


グイ、と中也はAを引き寄せた


振り向き際の中也の顔は────これまでにないほど、真っ赤






「…いつまで突っ立ってンだ



────今日は二人きりだ」






耳元で囁かれ、頬に熱が集まっていく


「…う、うん」


赤くなった頬を覆うように頷いてから、Aは部屋に入った









部屋で豪勢な食事を食べた後、Aは窓際の椅子に腰掛けた


一方で、中也も黙り込んでいる


家で二人きりなら有り得ない沈黙の中で、自分の鼓動の音のみが響く



(…どうしよう)



未だに今の状況に頭が追いついていなかった


森とエリスと尾崎は別の部屋に行ってしまった────つまり、今夜は中也とこの部屋で過ごすのだ


(中也と、二人)


家にいるときは意識しないほど意識してしまう


緊張で話しかけることも出来ず、外を眺めるふりをしていると、ふと声が掛けられた



「なァ、A」



静かな声音に、Aはゆっくり中也の方を向いた


中也は、いつもよりちょっと大人っぽい笑を浮かべて、手を広げていた





「こっち、来いよ」






Aは立ち上がり、そっと中也の前に正座する


「…にやってんだよ、ほら」


もっと近く、と顔を近づけられ、反射的に逃げようとして────



とさり、



敷かれた布団の上に、倒れ込んでしまった






「…あ」





此方を見下ろす蒼色の瞳と目が合ったかと思えば、中也は顔の横に腕をたてて覆いかぶさった


「…へ、あ、」


間抜けな声を出すAにクスリと笑うと、中也はそっと首筋に口付けを落とした


ちゅ、ちゅ、と音を立てて口付けられ、触れられたところが熱を帯びていく


静かに愛情を受けながら、殆ど回らない思考の中でAは必死に考える







(これって…、少女漫画の展開…!?)







どうしよう、と思う内にも、中也の口付けは止まらない


お互いの息が荒くなっていき、中也の手が太腿に触れたとき、Aの羞恥は限界を越え









「〜〜〜ッ!!」









声にならない声を上げて、Aは中也を断固拒否した

おいでませ、温泉旅行 7→←おいでませ、温泉旅行 5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (120 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
201人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。