Stray Lovers 2 ページ31
来たことも無いお洒落なバーのカウンター席に座って、カクテルを口にした
「美味しい……」
「そうじゃろう?お主は何時も中也のことを考えて余り酒も呑まぬからのぉ、偶にはと思って連れてきたのじゃ」
そうだ、お酒は好きだが、私は何時も中也の介抱係だった
すぐに酔ってしまう中也のことを考えると、自分の好きなように呑むことは出来なかった
「ありがとうございます、紅葉さん」
素直に嬉しくて、ペコリと頭を下げるAに尾崎は問うた
「……それで、何かあったのかぇ?」
尾崎の言葉に、Aは話した
一週間前程に、痴漢にあったこと、それ以来、中也がよそよそしくなってしまったこと……
「中也……凄く嫉妬して、それで……中也が、私に……」
ディープキスを……と言おうとするも、Aは羞恥心で言えなかった
顔を突然真っ赤にしたAを見て、尾崎は納得する
(中也……、遂に手を出したか)
「私……嫌われちゃったんでしょうか……」
お酒のせいか、ポロポロと泣き出してしまったAの背中を、尾崎はゆっくりと擦る
「Aよ……、お主のことを、中也が嫌うと思うのか?中也は……もう何年もお主を一途に想っているのじゃぞ?それはお主も同じであろ?」
尾崎の言葉に、Aはハッとした
(そうだ……、私と中也は、お互いを想いあってる)
「何をされたかは大体検討がついたが……中也のことじゃ、若しかしたらAに引かれたと思っているのかもしれんのぉ」
「引かれた……?」
「それか……中也は真面目な男じゃ、色々考えてしまったのじゃろう……もっと大切にしたかった、とかのぉ」
尾崎の言葉に、Aは確信した
唇を離したときの中也の表情には……、後悔のようなものがあったのだ
(中也……、私を大切にしたかったんだ)
「……くれなくていい」
ポツリ、呟いた言葉に、尾崎は首を傾げる
「大切になんか、してくれなくていいから……、前みたいに……触れて欲しい」
Aの心からの本音に、尾崎はにこりと笑った
「それを中也に伝えればいいのじゃ、お互いの気持ちを……そのままのぉ」
あやす様に優しく言う尾崎に、Aは強く頷いた
「はい……!伝えます、中也に」
Aの表情から先程までのもやは消え、すっかり晴れた表情になった
「よし、元気になったようじゃな、今日は遠慮なく呑むと良いぞ」
笑ってそう言えば、可愛い妹の様な存在のAは、嬉しそうに笑って見せた
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みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時