遊園地デェト 3 ページ26
ガタン
音をたてて、2人を乗せたゴンドラが動き出す
狭い密室に、2人きり、というシチュエーションに、Aの心臓は中也に聞かれてしまうのでは、と思うほど高鳴っていた
何も言えずに黙っていると、相向かいに座る中也が外を見て指を指した
「A!マフィアの拠点があんな小さく見えるぜ」
その言葉に、外に目を向ける……と、そこにはヨコハマの夜景が広がっていた
本来なら夜景に感動する……筈なのだが、Aの背中に悪寒が走った
「こ、怖い……」
夜の暗さもあって、自分が何キロも高いところにいるような気になってしまう
「マンションの方が高いぞ?」
「ま、マンションとは違うの……!」
見れば見るほど、怖さは増していき、足は産まれたての小鹿よろしく、プルプルと震えだした
「A、こっち来いよ」
安心させるように中也は笑うと、空いた隣をポンポンと叩く
が、Aは頑として首を縦に振らない
「ゆっ、揺れちゃうよ……!無理!」
ぎゅっと目を瞑ってまさに断固拒否の態度を見せるAに、中也は腰を上げた
「仕方ねェな」
「中也!?」
目を丸くして慌てるAの華奢な腕をぐい、引っ張る
怖くて力の入らない状態だった為、Aはよろけるように中也に覆いかぶさった
悲鳴を上げるAをぼふり、受け止める
その衝動で、ゴンドラはキィキィと音をたてて揺れた
「ちゅっ……、中也の馬鹿ぁ!怖かったよ……!」
身体を起こすと、Aは半泣きになってぽかスカ叩いてきた
(可愛いけど、地味に痛てぇ)
中也はそんなAの腕を掴み、足場に座らせ、自分もその前に座った
足場に座れば、もう景色は目に入らない
「これならもう怖くないないだろ」
目線を合わせて微笑めば、Aは言葉を詰まらせた
「うっ……うん」
2人の距離はとても近くて
中也の鼓動は、早鐘のように音をたてていた
「……キスしたい」
中也の言葉に、顔をかああっと赤くするA
Aとの距離を詰め、頭の横に手をつくと、Aは潤んだ瞳で、強請るような視線で見つめてきた
「私も……、キス、したい」
初めて見るその表情に、中也の理性はぷつりと音をたてて切れる
ギシリ、ゴンドラが小さく音をたて
音もなく、重なった、2人の唇
短いキスの後、少し見つめあってから、また口付けを交わす
何度も中也から与えられる甘い口付けに、Aは心地よさを感じながら、そっと身を委ねたのだった
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みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時