検索窓
今日:18 hit、昨日:3 hit、合計:72,237 hit

遊園地デェト 2 ページ25

「中也!中也!速く!」


「うおっ、ちょ、待てって!」


いつにも増してキャッキャと子供のようにはしゃぐAに手を引っ張られながら、中也はふと笑った


アトラクションに乗り終わっては目をキラキラとさせ、次はあれがいい、これがいい、とパンフレットを見るAは、本当に愛らしかった


「中也、全部乗れるかな?」


「全部は難しいかもな……絞ったらどうだ?」


中也の言葉にAはうーん、と暫く考えると、候補を指さした


「おいおい、殆どじゃねェか、欲張りだな」


ははっ、と笑い、中也はAの頭をポンポンとする


その中也の手に、Aの心臓は小さく音を立てた


(そう言えば……私、自分の乗りたいのだけ優先してる)


そこで今までの自己中心さに気づき、Aは慌てて中也に問うた


「ちゅっ、中也は何に乗りたいの?」


急にそんなことを聞くAに、中也は目をぱちくりさせる


「俺か?心配してくれなくても大丈夫だぞ?大体お前の行きたいとこと一緒だから」


「ほ、本当?」


「おう、遠慮なんかしてねぇから、平気だぜ」


ニカッと笑う中也に、Aの心臓はまたも高鳴る


(中也は何時も私のことを1番に考えてくれて……、気配りが自然に出来たり、本当に中也って格好いいなぁ)


中也への想いが途端に溢れてきて、Aの顔に熱が集まっていく


「まぁ……強いて言うなら、これは最後に乗りてェな」


中也がトントン、と指さしたのは、ヨコハマの夜景を彩る、巨大観覧車だった


「わっ、私も乗りたいって、思ってた……!」


「だと思った」


意見が合致して、同じ気持ちなんだとわかり、Aと中也は笑い合う


(ずっと、中也と乗りたかった観覧車に乗れる日が来るなんて……)


と想いを巡らせていると、中也が声をかけてきた


「なァ、次はどれ乗る?」


「えっと、じゃあ……これ!」


「お、いいな、行こうぜ」


立ち上がって歩き出そうとすると、中也は指を絡め合わせて手を繋いできた


ー世間一般でいう、恋人繋ぎである


「……っ」


先程までも手を繋いでいたのに、距離が1層縮まった気がして、Aの鼓動のスピードが早まっていく


「Aが迷子になるかもしれねェからな」


「ばっ、ばかっ!」


恥ずかしくて顔を逸らすと、中也は指をより深く絡めた


「……なんて、冗談に決まってんだろ、ずっと恋人繋ぎしたかったんだ」


優しい声音に、Aが見上げると、中也は治部と同じ様に耳まで顔を赤くしていた

遊園地デェト 3→←遊園地デェト 1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (120 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
201人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。