伝え愛 20 ページ21
Aは寝返りをうって携帯電話を確認した
時刻は夜中の２時を過ぎたところ
Aはため息をついた
「……寝れないなぁ」
Aはまた寝返りをうって、今日のことを思い出していた
あの後……つまり、Aがお風呂に入った後、中也が何か言おうとしていたのにも関わらず、Aは中也を避けたまま、床についたのだ
(中也に悪いことしちゃったかな……)
心はモヤモヤしたまま、Aは首筋の傷跡を触る
「一寸、風に当たろう」
Aは起きてリビングに向かった
カーテンを開けて、ベランダに出ると、ヨコハマの夜景が目の前に広がっていた
「綺麗……」
キラキラと光る街並みに、何だか手が届きそうで、Aは虚空に手を伸ばす
「……A？」
その時、後ろから自分を呼ぶ声が聞こえ、Aは振り向いた
すると、そこには見慣れたパジャマ姿の中也がいた
「中也……」
中也は今日の事など無かったかのように、Aに話しかける
「なんだ、お前も眠れないのか」
「うん」
返事をした所で、ばさりと頭にタオルケットがかぶせられる
「ぶっ」
間抜けな声を出すAを見て、中也は少し笑った
「くるまっとけ、風邪ひくぞ」
素直にそれを身体に巻くと、ぽかぽかして温かかった
「……ありがとう」
中也と目が合わせられなくて、Aはくるりと背を向けて夜景を見始める
無言のまま、時間が過ぎていき、痺れを切らしたAが中也に何か言おうと、口を開いたとき
ー……ぎゅ
後ろから中也はAを抱き締めた
Aは突然の事に、息をするのも忘れてしまう
衣服越しにお互いの体温と、鼓動が伝わり、Aは切なくなって、声を荒らげた
「そうやってっ、中也はいっつも……っ」
振り返ろうとする身体はしっかりと腕に収められて、抵抗する手は中也の大きな手に制された
「好きだ」
ぴゅう
吹いた風が、２人の髪の毛を揺らした
Aは、目を見開いた
息と抵抗していた手が自然に止まり、頭の中に中也の言葉が響く
『好きだ』
中也は確かにそう言った
腕の力が緩められ、Aは中也を振り向いた
中也は真剣味を帯びた蒼い瞳でAを見詰めて
「A、好きだ」
Aは呆然して、唯中也を見つめ返すことしか出来ず、息をするのが精一杯で
「私も」とか、「遅いよ」とか言いたいことが沢山あるのに、胸が苦しくて、泣くのを堪えて拳を握ることしか出来なかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです！感動しました！もう最高すぎて苦しい！！！！！ (2019年2月15日 21時) (
レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした！ (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです！コメントありがとうございます(＊´ｖ｀)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです！ (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました！ (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀｀*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・｀)なるべく更新するように頑張ります！ (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：AＳ | 作成日時：2017年4月24日 17時
