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伝え愛 11 ページ12

大きな荷物を持って帽子を被る中也に、Aは少し寂しそうに笑う


「いってらっしゃい」


「嗚呼、何かあったら、連絡しろよ」


今日から中也は2日間の短期任務の為、家を開けるのである


「それから、昨日は悪かったな」


中也は柄にもなくしょんぼりと肩を落とした


「ううん、大丈夫だよ」


耳の垂れた子犬のような中也に、Aは笑ってしまう


昨日ー……つまり誕生日の次の日の日曜日だったのだが、休みを貰ったにも関わらず、中也は二日酔いで倒れてしまったのだ


その為、お出かけの予定は中止、昨日は中也の看病に追われることとなったのだった


「連休に入ったら、また休み貰えるから、そん時はAの好きな所行こうな」


「……うん!」


大好きな中也の手に優しく撫でられ、Aは元気よく頷いた


「じゃあ、行ってきます」


ドアが閉まって中也の背中が見えなくなるまで手を振って


「……中也」


2日間、中也に会えないという寂しさと、昨日の出来事がAの心の中に渦巻いていた


(きっと……、中也も、わかってる、知ってる、お互いの気持ちくらい)


それなのに、何時も、何時も、何年経っても、中也はそれを決して口には出さない


(でも……、今の関係が幸せで、それが若し、崩れたりしたなら……)


今の関係が崩れるのを恐れる、臆病者の2人


「中也……、これって、いつまで、続くのかな」


昨日の、中也の腕の中の、今まで知らなかった温もりが、心に絡みついて離れない


「抱きしめたなら……、好きって、言ってよ……」


ポタリ、マットの上に雫が零れ落ちた




「お疲れー」


「お疲れ様ー」


久しぶりの長い講義とバイトに、Aは背を伸ばした


もう刻は6時を過ぎている


(帰って夕飯作らなきゃ)


そう思って足を踏み出したものの、中也がいないということを思い返す


「今日は寂しいなぁ……」


自然と漏れた本音に、自分の中也への想いが大きいことを思い知らされ、Aは少し自嘲した


(私……本当に中也のこと大好きなんだなぁ)


携帯電話で中也からのトーク画面を確認する


何かメッセージを打ち込もうとした手は、空中を彷徨って、下げられた


「彼女じゃ、ないもんね」


(寂しいよ、なんて、言えない)


自分に言い聞かせて携帯電話をしまおうとした所で


プルール プルール


電話が鳴り出し、Aは慌てて電話にでる


「もしもーし?」


聞こえてきた声に、Aは嫌な予感を覚える


「何の用?太宰……」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時

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