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伝え愛 ページ1

ヨコハマ市、マンションの最上階


朝陽の温かさと、小鳥の鳴き声に、1人の女性は目を覚ました


「ん……、もう朝?」


寝ぼけ眼を擦り、意識が覚醒し始めると、まだ幼さの残る顔の女性は起きてカーテンを開けた


静かに部屋を出て、洗面所で身支度を済ませ、ダイニングキッチンに向かい、朝食の用意をし始める


スープ、サラダを作り、パンにバターを塗って


スクランブルエッグをフライパンで掻き回していると、リビングのドアが開き、寝ぼけ眼の青年が……欠伸をしながらやって来た


「あ、おはよう!」


女性の表情はたちまち太陽のように輝く


「ん、はよ」


青年は重たげに体を進ませ、女性の背中に寄りかかった


「今日の朝飯何?」


何時ものやり取りに、女性は幸せを感じながら笑う


「今日はパンだよ、中也ってば、重いよ」


「んー……わり、A」


中也はそう告げると洗面所へと向かっていく


中也の後ろ髪がぴょこんと跳ねているのを見つけてー……Aは小さく笑うのだった




洗面所から出てきた中也は、眠気が取れたのか、すっかり何時もの中也になっていた


中也が席について、2人は同時に手を合わせる


「「頂きます」」


焼きたてのピザトーストを食べていると、中也は新聞を片手に言う


「今日は会議があって遅くなるかもしんねェ、余程遅くなるようだったら連絡する」


「んむ、ははった」(うん、わかった)


口1杯にもごもごしながら返事をするAに、中也はケラケラと笑う


「ははっ、お前、ハムスターみてェだぞ!」


中也の言葉にAは急いで飲み込み「だって食べてたんだもん」なんてそっぽを向いて見せた


そんなAに、中也は微笑んで


「今日も美味ェよ、朝飯」


中也の言葉に、Aの胸は簡単に高鳴るのだった



「じゃ、そろそろ行くわ」


中也が外套を羽織るのを見て、Aはパタパタと駆け寄り、帽子を渡す


「行ってらっしゃい」


「ん、サンキュ」


中也が帽子を被り、革靴を履いたところで、思い出したようにAに振り向いた


「そういやA、今日講義だっけか?」


「うん、今日は午前中だけ」


「そうか、気を付けてな」


ぽんぽん、とAの頭に手を乗せて、中也は笑った


「行ってきます」


出掛ける背中を見送り、Aは触れられた頭を触って、呟く


「……中也、好き、だよ」


(このひと言を言ったら、貴方はなんて言うのかな)


もどかしい気持ちを胸に、Aは中也を想うのだった

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
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みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時

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