家政婦、始めました ページ10
「では…、Aは本日から太宰の家政婦になるのか」
ことの成り行きを伝えると、社長は少し目を丸くした
「はい…、でも私、これからも社長や皆の役に立ちたいです
今まで沢山お世話になりましたし…」
(探偵社を辞めたくない)
Aは心からそう願っていた
探偵社が心地いいのもあったが、何より、まだ想い人に想いを伝えられていない
Aの切実な想いを聞くと、社長は「A、探偵社を辞める事はない」
とAを真っ直ぐに見つめて言った
「Aの淹れる茶は美味い
それに菓子もだ、何時も乱歩が絶賛するくらいだからな
それに、Aが探偵社を完全に辞めれば、皆寂しがるだろう
私も、Aにはやめて欲しくないものでな
────そういうわけだ、これからも宜しく頼むぞ、A」
淡々とした口調の中に、社長の深い思いやりがあるのを実感し、胸がじんわりと温かくなっていく
「社長…、ありがとうございます!これからも頑張ります!」
背筋を伸ばして礼をすると、社長は満足そうに深く頷いた
「良かったね」
軽い足取りで社長室を出ると、すぐ横で壁に寄りかかる太宰に声を掛けられ
「わっ!びっくりした!驚かさないで下さい!」
「そんなつもりじゃないさ」
太宰は胸を押さえるAを見てくすくすと笑うと、踵を返した
「さぁ、皆君の淹れる珈琲を待っているよ」
かつ、と靴を鳴らせて長い足を進める太宰の背中にを追いかける
「あぁっ、待ってください!」
机に向かう与謝野医師に珈琲を出すと、艶やかな笑みを浮かべて「ありがとうねェ」
「いいえ」にっこりと笑みを返すと、与謝野医師はずいっと身を乗り出して今度はニヤッと笑った
「そう云えば、太宰の家政婦始めたんだって?
どういう風の吹き回しだい?」
愉快そうにくつくつ笑う与謝野医師の言葉に、タイピングをしていた国木田の手が止まる
「なに…?Aが太宰の家政婦?」
訝しげな国木田の疑問から、あっという間に社内にざわめきが訪れた
「えっ、Aさんが太宰さんの家政婦!?」
「驚きました…、本当ですか?」
目を瞬かせる敦、問うてくる谷崎達に、Aは「えっと…、」と口篭る
「ほ、本当です、今日から家政婦をさせて頂く事になりまして…」
縮こまってそう伝えると、皆から更にどよめきが上がったが、その中で国木田のみが、眉間に皺を寄せていた
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輪廻 - 前作も素晴らしい作品でしたが、今回もとっても面白くて、キュンキュンしております!( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )❤︎この小説、もう更新はなされないのでしょうか?とっても面白いので、国木田さんの言葉の続きが気になります! (2022年5月8日 8時) (レス) @page12 id: 3d9ac3cda8 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 甘党主義者さん» こんにちは!コメントありがとうございます!前作から…!とっても嬉しいです!ほのぼの恋愛を目指しているので、少しでもゆったりしつつ、きゅんきゅんして下されば幸いです!これからも頑張ります!(´∀`*) (2018年3月22日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
甘党主義者(プロフ) - こんにちは、読ませていただいています! 前作から読み始めているんですけど、凄い面白いです(*^^*) これからも更新、楽しみにしています!! (2018年3月22日 8時) (レス) id: 5924d6346b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2018年3月19日 16時