ぶっきらぼうの裏側 ページ12
(お、重た…!)
重い荷物を持ってもらっているのにも関わらず、両手に袋、流石に重くてベンチに座ってしまう
「疲れたのか?」
両手に大きな袋をもつ国木田に問いかけられ、Aはハッとする
(元々私が頼まれたんた事を国木田さんが手伝ってくれたんだから…!)
重い荷物を持ちながらも平然としている彼を見て、尊敬の念を抱きながら、Aは立ち上がる
「だっ、大丈夫ですよ!このくらい」
あはと笑うと、国木田は息を吐いてから荷物を置き、Aを座らせた
突然の事に、目を丸くするAに対して「阿呆か、お前は」
「…両手が震えているぞ」
重い荷物に耐えられず、情けなく震える手を指摘され、Aはきゅっと唇を噛んだ
「仕方ない…一寸待っていろ」
国木田はそう告げると、何処かへ行ってしまった
取り残され、1人ため息をつく
「…国木田さんにはなんでもお見通しなんだ」
仏頂面に、ぶっきらぼうな言葉
それでも、隠しきれない優しさが溢れる様に伝わって、胸をきゅっと締め付ける
(…好きです、国木田さん)
彼への想いをそっと心の中で呟くと、丁度国木田が此方へ歩いてきた
その手には、珈琲と紅茶の缶
「ほら、飲め」
命令口調でぐいっと目の前に突きつけられる缶
唯の缶なのに、唯の紅茶なのに、嬉しくてたまらない
高鳴る鼓動を胸に収めながら、立ったままの国木田を見上げる
「紅茶…」
「…ん?お前は紅茶が好きだったろう、違うのか?」
不思議そうに小首を傾げる国木田に、ゆるむ頬を引き締めて「はい、紅茶好きなんです」
"珈琲が嫌いで、紅茶が好き"とか"甘味が好き"とか小さな事を覚えてくれていて、先日のように舞い上がってしまう
貰った紅茶を1口飲むと、疲れが一気に吹っ飛んでいく気がした
「ふふ、嬉しいです、国木田さん、今日は本当にありがとうございます」
緩んだ表情のまま、微笑むと、国木田は少し目を見開いてから目を細めて微笑み返した
「…嗚呼」
フッ、と優しい表情に、一気に胸が高鳴る
堪らずAは下を俯く
(…どうしよう、ドキドキが止まらない)
ここ最近で様々な国木田に触れ、Aの心臓が限界メーターをとうの昔に超えていた
悟られずに高鳴りを沈ませようとするAを、国木田は静かに見つめる
そして、そっと、囁く様な低い声音で
「太宰の家政婦になったというのは、本当なのか?」
そう、静かに尋ねていた
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輪廻 - 前作も素晴らしい作品でしたが、今回もとっても面白くて、キュンキュンしております!( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )❤︎この小説、もう更新はなされないのでしょうか?とっても面白いので、国木田さんの言葉の続きが気になります! (2022年5月8日 8時) (レス) @page12 id: 3d9ac3cda8 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 甘党主義者さん» こんにちは!コメントありがとうございます!前作から…!とっても嬉しいです!ほのぼの恋愛を目指しているので、少しでもゆったりしつつ、きゅんきゅんして下されば幸いです!これからも頑張ります!(´∀`*) (2018年3月22日 23時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
甘党主義者(プロフ) - こんにちは、読ませていただいています! 前作から読み始めているんですけど、凄い面白いです(*^^*) これからも更新、楽しみにしています!! (2018年3月22日 8時) (レス) id: 5924d6346b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2018年3月19日 16時