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此方向いて 29 ページ30

周りから拍手喝采が起こる


何度も挑戦するうち、中也とAは注目の的となっていたのだ


千円札を5枚、100円玉を3枚飛ばした所でやっと、パンダは音を立てて取り出し口に落ちた



「うおぉおお…!取れた…!」


「わーっ!やったー!!中原さん凄いですっ!!」



思わずハイタッチしようとする…が、先ほどの間接キス事件を思い出し、二人は前を向いた


取り出すと、それは中華帽を被ったパンダだった



「ほらよ」



中也は笑っていたそれを差し出す


「ありがとうございます、中原さん」


心から嬉しくて、Aは精一杯微笑んでそれを受け取った


中也はそんな笑顔に不意を突かれた様に目を見開いてから、そっぽ向いて頭を掻いた



「あー…俺やっぱ手前の事好きだわ」


「えっ」


「っ、いいから、行くぞ!」



踵を返す中也の背中を追って、Aはその場を後にした




それからも様々な場所を周り、帰路につく頃にはヨコハマの街は暗くなっていた


他愛もない会話がふと途切れた時、Aはずっと疑問に思っていたことを口にした


「あの、最初に出会った時、『俺のこと覚えてるか?』って言いましたけど…」


そこまで言うと、中也は「嗚呼」



「この間川で溺れてた手前を助けたの、俺なんだよ」


衝撃の事実に、Aは目をこれでもかという程見開く


「ほ、本当ですか!?」


「まァ…あの時手前意識無かったしな」


太宰に助けられたと思っていたAは、今までの中也に対しての自分の態度を思い出し、申し訳なさが溢れてきた


「なんでその事言ってくれなかったんですか…!」


「なんでってな…」


中也は足を止めると、Aと向き合った


真剣味を帯びた、真っ直ぐな視線が、重なる




「それ伝えたら…手前は優しいから絶対俺の気持ちに応えようすると思ったからだ


でも、そんな気持ちで好きになって欲しくねェからな



それにー…その気のねェ手前を俺に惚れさせるが、面白そうだって思ったからだ」



ニッ、と不敵に笑う中也に、唖然としてしまう


(そうだ、この人は、マフィアなのに、何処までも真っ直ぐな人)



「…助けてくれて、本当にありがとうございました」


軽く頭を下げ、Aは悪戯に笑ってみせる



「これからも、私を惚れさせるの、頑張ってくださいねー…暇な時は付き合いますから」


「言ってくれるな、任せとけ」


中也の笑顔に、Aはまた微笑んだ




(嗚呼、本当にこの人は眩しい人だ)

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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AS(プロフ) - ただのニジオタさん» コメントありがとうございます!明日には公開出来ると思うので、お楽しみにしていて下さい!これからも全力で頑張っていきます!いつも温かな応援、嬉しいです(´ヮ`*) (2017年9月23日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ただのニジオタ - 更新頑張ってください!!!!ほんとに応援しています! (2017年9月23日 16時) (レス) id: 5943eb19db (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 姫蛍さん» 私も書きながら悶えてしまいました…←双黒にあんなに想われてドキドキさせられて…もう夢主になりたいです(笑)コメントありがとうございます(*´v`)これからも頑張ります! (2017年9月21日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 一言言います。悶える。 (2017年9月21日 22時) (レス) id: 3003a1c972 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 夜野猫さん» やっと自分の想いを認められた太宰です…、すっかりデレデレになってますね(笑)書いていて、双黒に好かれて羨ましい限りです(´ω`)ありがとうございます!更新頑張ります! (2017年9月18日 22時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AS | 作成日時:2017年9月3日 17時

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