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伝え愛 9 ページ10

廊下を駆けてくる、騒がしい足音が聞こえてきたと思えば、次の瞬間にドアが勢いよく開かれる音がする


「A、只今!」


元気よく部屋にやって来たのは、任務から帰ってきた中也だった


「中也くん!おかえり」


中也の方に顔を向け、Aは微笑む


あれから数週間、中也は毎日Aの元を訪れている


そして、目の見えないAに、今日あった出来事等を話したりするのだ


寝台の隣の椅子に腰掛けると、Aが恐る恐る中也に訊ねた


「中也くん……、怪我、してるの?」


「え?」


中也はさっと自分の身体を見るが、怪我をした場所など1箇所もない


「いや、怪我してねぇよ」


中也の言葉に、Aは安堵して胸を撫で下ろした


「良かった……、中也くんから血の匂いがするから、怪我したのかと思って」


Aの言葉に、中也は小さく肩を揺らす


「中也くん?」


目が見えない分、匂いや音、気配に敏感なAは、心配そうに中也を見上げた


「え、あ、いや、今日ちょっと鼻血出しちまって……」


冷や汗を額に垂らしながら、中也はアハハ、とから笑いする


「そうだったんだ、ならいいんだ」


納得したAに、中也の胸はチクリと痛む


Aは気を取り直したように、身を乗り出した


「今日も、中也くんのお話、聞かせて!」


無邪気にAが笑ったところで、部屋にノックの音が響く


「……!?」


中也以外のノックに、Aは血相を変えて身を引く


「私だよ、森鴎外だ、開けていいかな?」


首領の声に、Aの身体はカタカタと震え出す


「やっ、いやっ!!」


Aが叫ぶと、ドアがガタガタと揺れた


「おおっと……、そこまで怖がられてしまうとねぇ」


首領は困ったように息を吐くと、先程より落ち着いた口調で話し始めた


「私は中原くんに用があるんだ、中原くん、来てくれるかね」


首領が外で笑ったのが、中也にはわかった


立ち上がる中也の腕を、Aは必死に掴む


「中也くん、行かないで」


ふるふると震えるAは、今にも泣きそうだ


「A、すぐ戻ってくるから、な?」


中也はそんなAを安心させるように頭を撫でた


するり、諦めたのか、Aの手が解かれる


中也は名残惜しく感じながら、そっとその場を後にした

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也   
作品ジャンル:恋愛
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黒糖。 - 夢主ちゃんの設定と容姿がめっちゃ好きです....!すごくいい話で楽しませてもらいました!応援してます! (2021年7月14日 17時) (レス) id: e962db8aef (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!嬉しいお言葉を頂き、大変光栄です……!楽しみにしていて下さい! (2017年4月23日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 第1章完結おめでとうございます!第2章も楽しみにさせてもらってます!! (2017年4月23日 21時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 和さん» コメント有難うございます!嬉しいです……!これからも頑張ります(*´∀`*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 面白いです!!更新楽しみにしてます! (2017年4月22日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AS | 作成日時:2017年4月8日 23時

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