伝え愛 28 ページ29
温かな朝陽を受けて、Aはふと、目を覚ました
目を開けると、映ったのは、白い天井
身体を起こして、周りを見渡せば、殆ど何も無い、簡素な部屋
「私の部屋、こんなに何も無かったんだ」
Aは起きて身支度を済ませる
そこで、思い出すのは、昨夜のこと……あの後、中也は医務室に運ばれて、治療を受けた
治療が終わってからもAは傍を離れようとはしなかったが、尾崎に促されて渋々自室で休んだのだ
「中也くん……、大丈夫かな」
身支度を済ませ、いざ医務室へ向かおうという時
部屋のドアがノックされた
「森鴎外だ、今いいかな？」
ﾞ森鴎外ﾞ、その名前に当然Aの身体は強ばる
Aのそんな様子を感じ取ったのか、森は続けて語りかける
「君に大事な話があるんだ」
何時もと何処か違う雰囲気を漂わせる森に、Aは「どうぞ」と返事を返す
ド森はAの目の前までくると、眉を下げる
「君にずっと面と向かって、謝りたかったんだ」
心から申し訳無さそうにそう言うと、森はAに向かって頭を下げた
「……ごめんね、Aくん」
「……！」
この行動にAは驚いた
「許して貰おうなんて、思っていない、だって、私は、君から大切なものを、奪ってしまったからね」
「これは、私の自己満足なんだ、君に謝らないと、気が済まないんだ」
森は、そう言う間も、ずっと頭を下げたままだった
(この人は、私を救う為に中也くんを会いに行かせたり……、外出許可を出したり……携帯電話も)
小娘に頭を下げる首領なんて、何処にもいない
(本当に、悪いと思ってるんだ……だから、尾崎さんも、中也くんも、この人についていく)
森の事を理解すると、心の重みがすうっと消えていった
「……顔を、上げて下さい」
Aの言葉に、森はゆっくりと顔を上げた
「貴方の事は、許せません、それは変わらない」
きっぱりとそう告げると、森は救われたように微笑んだ
「君を解放しようと思っていたんだ、家族の元へ、君を帰すよ」
森の思いがけない言葉に、Aは輝かせた瞳を伏せた
「私は……家族の元には帰りません、家族と一緒にいたいけど、中也くんとも一緒にいたい……家族は、罪を犯した中也くんを、受け入れない」
「……私は、中也くんと共に過ごします」
「中也くんと出会うきっかけを作ってくれたのには、感謝しています」
本音をさらけ出すと、森は静かに微笑んだ
「……ありがとう」
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黒糖。 - 夢主ちゃんの設定と容姿がめっちゃ好きです....！すごくいい話で楽しませてもらいました!応援してます! (2021年7月14日 17時) (
レス) id: e962db8aef (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - 和さん» ありがとうございます！嬉しいお言葉を頂き、大変光栄です……！楽しみにしていて下さい！ (2017年4月23日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 第1章完結おめでとうございます！第2章も楽しみにさせてもらってます！！ (2017年4月23日 21時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - 和さん» コメント有難うございます！嬉しいです……！これからも頑張ります(*´∀｀*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 面白いです！！更新楽しみにしてます！ (2017年4月22日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AＳ | 作成日時：2017年4月8日 23時
