【文スト】伝え愛【中原中也】

伝え愛 24 ページ25

開かれたドアの先の少年はー……血が滴るナイフを片手に、返り血を浴びた、少年だった


その場にいる男達の背中が凍りつく


誰かは死を覚え、また、誰かはその少年の恐ろしさに震えた


「うっ、撃てっ！撃てっ！！！」


Aの隣の男が裏返った合図をすると、一気に男達は中也に向かって銃を乱射し始める


ー……が、それは全て異能力の重力操作によって中也の手に当たると、唯の弾となり、地面に音を立てて落ちる


「ひっ……！！」


男達が恐怖に身体を強ばらせた刹那、中也は男の懐に入り込み、重力操作した拳をかます


「うおおおおおっ！！」


気が動転し、金属バットで殴る男の喉笛をナイフでかっ切り、別の男の腹に足を旋回させ、叩きつける


「ぐはっ……」


次々に男達が倒れていく中で、Aの隣にいた男は急いで幹部に通信をする


「幹部！」


『どうした』


「幹部！中原中也が5階に到達、もうすぐ全滅です！」


焦る男に、幹部は考えると、素早く返事を下した


『女を殺せ、目の前で……その後俺があの餓鬼をやる』


ぷつり、通信が切れたと同時に、男は声を張り上げた


「おい！この糞餓鬼！！」


思い切りAの髪の毛を引っ張り、強く強く、銃を頭に押し付ける


ーしかし、その手は、カタカタと震えだした


男の目の前には、もう、誰1人としていなかった


あるのは、仲間達の倒れた姿のみ


「おいー……」


姿を消した中也を探して見回そうと後ろを剥いた、その瞬間


シュッ


勢いよく男の前に踏み込んだ中也が、男の首を的確にかき切り


男は血を流して倒れた




静まり返り帰った部屋で、Aはキョロキョロと中也を探すように見回す


「ちゅうや、ちゅうやく、中也くん……！」


そんなAの首を繋ぐ縄をそのナイフで切ると、Aは突然のことにバランスを崩した


中也はAの身体を支えると、椅子から下ろして床に座らせた


ー……血で汚れていない、真っ白な床に

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