伝え愛 21 ページ22
気持ちを落ち着かせて、中也はベンチへ向かう
「……は」
中也は自分の目を疑った、最初から存在が無かったかのように、ベンチにAはいなかった
「A!何処だ!」
必死に叫ぶが、当然返事は帰ってこない
(Aは、勝手に何処かへ行くなんて絶対しない……ってことは)
゙攫われだ
中也はその事実を認識すると、携帯電話でAに電話をかけながら拠点へと走った
「首領!!」
血相を変えてノックもせずに飛び込んできた中也に、森は何かあったのだと察する
「どうしたんだい、中也くん」
その場にちょうどいた尾崎が、Aの姿が無いことを確認して中也に問う
「中也……、Aは、どうしたんじゃ」
「っ……、攫われ、ましたっ」
悔しげに唇を噛む中也に、2人は目を見開き、森は席を立って、中也の前に歩み寄る
「落ち着きなさい、君がAくんを大切にしていたのはよくわかっている……、予想外の出来事だったのだろう、君の責任ではない」
森の言葉に、中也は拳を握り締めて泣きそうな瞳で森を見つめた
「首領……っ」
中也が溢れかけた涙を強く拭いとったところで、中也の携帯電話が鳴る
携帯電話に表示されたのは、゙A゙の名前
2人の視線が集まる中、中也は素早く電話に出た「……もしもし」
『よぉ、中原中也だよな?』
聞いたこともない男の声が聞こえ、中也は顔を顰める
「Aはどうした」
子供とは思えないドスの聞いた声に、電話越しで男は下卑な笑いを零す
『いるぜ?俺の隣にな……覚えてるか?手間がこの間殺した組織の幹部なんだけどよぉ』
中也の目が大きく見開かれる
『復讐って、奴だな、この餓鬼大事なんだろ?今から言う場所に1千万用意して1人で来い……さもねぇと……餓鬼がどうなるか、わかんねぇからな?』
指定場所を聞くと、中也はすぐに武器庫へ向かった
首領や尾崎の止める声も無視して
ナイフを仕込んだ外套を羽織り、腰に1丁拳銃を指し、アタッシュケースに札束を詰め込み、中也は外へ駆けていく
「助けに行くの?」
不意に声がする方を振り向くと、太宰が腕を組んで壁に寄りかかっていた
「……嗚呼」と中也は返事をし、太宰に背を向ける
「彼奴には……俺しかいないんだ」
そう固く決意をするように言うと、中也は横浜の夜の街へ飛び出して行った
「俺には彼奴しかいない、の間違いでしょう?」
太宰のそんな呟きは、風に掻き消されて消えていった
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黒糖。 - 夢主ちゃんの設定と容姿がめっちゃ好きです....!すごくいい話で楽しませてもらいました!応援してます! (2021年7月14日 17時) (レス) id: e962db8aef (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 和さん» ありがとうございます!嬉しいお言葉を頂き、大変光栄です……!楽しみにしていて下さい! (2017年4月23日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 第1章完結おめでとうございます!第2章も楽しみにさせてもらってます!! (2017年4月23日 21時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 和さん» コメント有難うございます!嬉しいです……!これからも頑張ります(*´∀`*) (2017年4月23日 0時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - 面白いです!!更新楽しみにしてます! (2017年4月22日 22時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年4月8日 23時