【旧バージョン】僕のクレイジーDAYS・２ (ページ8)

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コノハヅキさんの絵の秘密２ページ8

「その女は、きっとダールにこう言ったんだろう。」
リーオックさんは何度か「コホン、コホン」と咳払いをした後、突然裏声で喋り出した。

『あらあら、そこのお兄さん！随分と男前ねぇ。今、時間ある？ちょっと私にお兄さんのお顔を描かせてよ。いやぁね、お金なんていらないわよ。サービスしちゃうから♡』

「ブホォォォォッ！」
僕は思わず吹き出してしまった。だって、リーオックさんはこれを真顔でやっているからギャップがすごい。
はっきり言って気持ち悪い！！
笑えたのは良いけど、また胃の内容物が逆流しそうな嫌な感じがして、僕は慌てて上を向いた。

「セリフを捏造するのはやめてくれないかな、リーオック。僕はそんな気色悪い声かけはしていない。特に最後の♡は違うからね。」
コノハヅキさんはコノハヅキさんで、苦虫を噛み潰したような顔をしているけど、リーオックさんはどこ吹く風だった。
「大して違わねぇだろ。結局ダールの奴は、鼻の下を伸ばしてお前の屋台に座ったんだからな。」

あれ？
……待って？

今、『僕はそんな……声かけはしていない』とか、『お前の屋台に……』って言った？！

え？！

「そ、その女の人って、実はコノハヅキさんだったんですか？」
「まあね。」
コノハヅキさんは否定しなかったので、僕は愕然とした。
「えっ！女装をしたってことですか？？」

確かにコノハヅキさんは、とても綺麗な人だ。
顔はとにかく整っているし……手足は細長くてすらりとしているから……。
もしかしたら、お化粧なんてしなくても、服を着替えるだけで女の人として違和感なく見れるのかも知れない。

……うーんと……。
なんだか、見てみたいような。

リーオックさんは、そんな僕の気持ちをまた見抜いたのか、ニヤニヤと笑っていた。
「そうさ。こいつの化けっぷりには、何大陸もの男が泣かされたな。いや、泣いたんじゃなくて死んだのか。」
「泣い……え？！死？！」
「変な言い方はしないでくれるかな？僕は別に趣味でやったんじゃ無いんだ。あくまで仕事。」
「し、仕事………。」
「ああ、仕事だよ。」
僕を見るコノハヅキさんの目が怖くて、僕は思わず布団に潜りたくなった。

「さて、ダールはこいつの狙い通りに屋台に座った。」
リーオックさんは、僕の机の上でさっきのリンゴの皮をするするとナイフで剥きながら、また語り出した。