この愛は貴方だけ ページ24
僕の周りの充実した生活を送っていた人間達って……。
うっ、心に言葉がグサグサ刺さるよ……
「……自分の経験を聞かれたのだと思ったものですから……」
僕は思わず自分を庇うような事を言ってしまった。
だけど、たちまち「言い訳はいらん!」とリーオックさんが言いそうだったので、僕は慌てて「でも、普通のカップルは……」と言葉を続けた。
リーオックさんは口を閉じた。
僕は、必死で高校にいたカップルの様子を思い出した。
僕の学年には、まるで小説の世界から飛び出して来たような美男美女のカップルがいたのだ。
ただ、どっちにもファンが多くついていて、互いの恋を応援されるだけなら良かったのだろうけど、羨まれたり邪魔されたり、本人達は何かと大変だったと思う。
でも僕は……二人の恋の行方にはあまり興味はなかった。
気にするだけ虚しいと思ったというのもあるけど。
そんな訳で、僕は二人がこっそり裏庭で話をしていた所を、たまたま見た事があるだけだ。
それで充分かな……?
「あの……僕が見た感じでは、手と手を取り合ったり、繋いだり……頬に触り合ったりしていましたね。』
言いながら、僕は無性に恥ずかしくなって来た。
でも、僕もいつかはユウミさんにそういう事がしたいんだよね……
出来るかな……。
思わず火照り出した顔に手をあてると、リーオックさんがまだ「それで?」と言うように見ているのに気づいた。
まだ言わないといけないのか……。
「……後はですね、彼氏が彼女に『かわいい』って言ったら、彼女は彼氏に『かっこいい』って言って……それから…お互いに……あ、『愛してる』って……」
「だよな?!」
いきなりリーオックさんが叫んだ。
僕はビックリして、心臓が止まりそうになった。
「そうだ、普通はその反応のはずだ!!!」
リーオックさんは左手で自分の髪の毛をぐしゃぐしゃとかき回している。
「『愛している』と家族じゃない男から言われたら、普通はそういう関係を意識するだろ!!そうだよな?!」
「え、あ、はいっ!」
「『この愛は貴方だけ』と言われたなら、尚更分かりやすい!」
「そ、そうですね!」
僕が何度も頷くと、リーオックさんは「何故だ、何故なんだ?!」と椅子の上でのけぞるようにして叫んだ。
「俺は言葉を濁さずにはっきりと告白した!それなのに、何故俺が、ロミオとジュリエットの芝居のセリフを反復しているのだと勘違い出来るんだ?!」
え、え……?
本当に何を言ってるんだ、この人……??
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作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時:2020年11月13日 12時