不機嫌な探偵3 ページ23
だってリーオックさんは、僕の服の裾を……いつ取り出したのかは知らないけど……事もあろうに銃口で引っ掛けていたのだもの!
そして引き金には、当たり前のようにリーオックさんの指がかかっていたのだ。
その後、流石に発砲はされなかったものの、恐怖で腰が抜けて立てなくなった僕は、リーオックさんにズルズルと引き摺られて2号室に再入室した。
でも、リーオックさんは部屋に入ると案外すぐに銃をデスクに置いたので、僕はホッとした。
それから初めてリーオックさんの部屋を見る余裕が出来た。
まぁ、部屋の作りはそんなに僕の部屋と変わらない。
だけど床には本や手紙、新聞といった紙の類いが足の踏み場もないほど散らばっていた。
さっきはそれどころじゃなくて気が付かなかったけど、僕が倒れていた部分にはちょうど新聞の山があったらしい。僕がバタバタしたからだろう、それは皆くしゃくしゃになっていた。
一方、リーオックさんのイライラは未だ収まる気配が無い。今なら、野生の狼も人喰いサメもひと睨みで逃げて行くんじゃないかな。
僕の話は「出て行け!」の一言で終わりになったみたいだから、このイライラはリーオックさんの言った「重大で深刻で!しかも不可解な謎」が原因なのだろうと思う。
だけど、僕を呼び止める事に何の意味があるんだよ……。
リーオックさんは、六日前には僕の行動も言う事も全てシミュレート出来る頭を持ってるんでしょ?
それに比べたら僕はただの馬鹿ですよ、無駄ですよ!
だから早く解放して……。
リーオックさんはドスンと椅子に座ると、床の上にへなへなと重心の定まらない座り方をしている僕を見返りもせずに、いきなりこう言った。
「お前が通っていた高校にいたカップルは、お互いにどんな話や仕草をしていた?」
今……何て?
僕は面食らった。
「あの……どうしてそんな話を……」
「無駄話はするな!」
リーオックさんはバン!と傍のデスクを叩いた。
精神が限界に近くなっているため、僕はそれだけで「ヒッ」と悲鳴を上げてしまう。
するとリーオックさんは、僕を睨む為だけに振り返って言った。
「早く答えろ。」
「あの……僕……今まで恋人が居たことはないので…そういうのはちょっと分か…」
僕が言い終わるか終わらないかの内に、またリーオック火山が噴火した。
「誰がお前の経験を話せと言った!お前に恋人が居なかった事など知っている!俺が聞いてるのは、お前の周りの充実した生活を送っていた人間達の話だ!」
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作者名:木の葉月&シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時:2020年11月13日 12時