【旧バージョン】僕のクレイジーDAYS・２ (ページ2)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:15,412 hit

Honeyのために４ページ2

「そこまでは良かったんだがな……。」
リーオックさんの声のトーンが下がった。

「下宿にはコノハヅキの奴も住み始めたんだ。
あ、あとお前も居たな。」
え……居たんだ。
リーオックさんの夢の中に僕も？
なんか嫌な予感しかしないのはなんでだろう……。
僕は自分の膝がワナワナと震え出すのを止められなかった。

「コノハヅキも、俺と同じく大家の女性にぞっこんでな。元々俺達は敵同士だから上手く行かないのは当たり前だが、輪をかけて面倒な事になった。

しかも、奴は俺よりも先に下宿を見つけていたからか、既にその女性と仲が良かった。気がつくと恋人も同然な雰囲気になっていやがった。
あぁ、その時の奴の得意げな顔が目に浮かぶぜ……。
あれには本当に腹が立ったな。

俺は勿論、その成り行きに納得出来なかった。
それにコノハヅキも、俺が生きていると後の生活に支障が出ると言うんで、俺達はお前が熱を出して部屋で寝ている時に、居間で決着を着けるべく戦った。

そして……俺は奴に負けた。
奴はその後、俺の血を使って薔薇を描いたようだった。お前さんの夢と似てるな。」

リーオックさんは大袈裟な身振りで宙を仰いだ。
でも、その顔は笑っていた。

「ただ、これはあくまで夢の話だ。その予行練習の結果、現実はどうなったと思う？」
リーオックさんはそう言って首を巡らし、ソファの後ろを見た。

僕はその動きを目で追い……

そして、気づいてしまった。

そこには、胸を赤く染めたコノハヅキさんが倒れていたのだ。
既に事切れていることは一目で分かった。
大きく見開かれたコノハヅキさんの青い瞳は、もう何も写してはいなかったからだ。

「リ、リーオックさん……！そんな、そんな………コノハヅキさんを………！」
「不思議に思う事はない。さっきも言ったが俺達は敵同士だったからな。当然の結末だ。」
「でも……でも……！酷いです……！」

『僕は、花や草木の美しさ、香りと色合いは神様からのプレゼントだと思ってるんだ。』
今朝のコノハヅキさんの言葉が僕の耳に蘇った。

コノハヅキさんがそう言った時、僕は「なんて素敵な事を言う人なんだろう」と思ったのだ。
その後、コノハヅキさんが本当は殺し屋だったと言う事を知って、「さっきの言葉は何だったんだ？！最悪だ！」と思ったけども……。

でも、あんなに綺麗な絵を描ける人の心が、全て真っ黒だとは……僕には思えない。
「コノハヅキさんは……優しい人だったのに……！」
「優しい人、か。」