07# 苦虫 ページ9
Aの張った、漆黒のサンクトゥム……。
“時空”のサンクトゥムにより、クランズマン以外の人間の行動は制限され、
和泉の能力により、相手の記憶を飛ばすことに成功した。
伊古奈はサンクトゥム発動後、すぐにこの場を離れ、結妃と合流した様子。
“即時撤退致します。宜しいですか?”
「……」
“御意”
夜鵺には無言返答は肯定と意、と伝えてある。
彼は返ってこない返答に、肯定と受け取った。
「美咲、私送ろうか?」
「いや、大丈――」
大丈夫、と言おうとしたのにも関わらず、ふらつく美咲。
「あっ……だって足元覚束無いし」
「すまねえ」
記憶の混乱による三半規管への侵食。
「いつもBarに行ってるよね? 猿比古と一緒に」
「あぁ」
「分かった」
美咲と私は何も話すことなく、吠舞羅の本拠地へ着いた。
「此処でいいんだよね?」
「おう、ありがとな」
「じゃあ、また明日ね」
「明日な!」
また明日。
友達のままで。
何回、繰り返しただろうか。
今が壊れるのを恐れては記憶を奪い取り、いつも通りの生活に戻る。
私が、王でなくなるためには“今すぐに死ぬ”か“命が尽きるまで待つ”か。
漆黒のダモクレスの剣は壊れない。
それは、時を遡り続けるから。
「もう、終わりにしたいのに」
「主上!」
「名无……」
「悲しそうな顔しないで。オレたちがいるから」
「そう、だね」
私は寂しいのだろう。
気の遠くなるほどの時を生き続けているのだから。
私というより、漆黒の王が。
祠札ビルに着いた時、見慣れた人物がいた。
「続……」
「“終”……」
「名无、先に戻ってて」
「りょーかいっ!」
調子良く敬礼をして名无はビルの中へと入って行った。
それを確認し、私は口を開いた。
「どうして、此処に?」
「話がある」
「長くなりそう?」
「あぁ。初とも話したからそのこともある」
「……ついてきて」
双子の兄の弟の方、御子神続。
彼もまた、私と同じようにストレインだ。
「初、何か言ってた……?」
「また心配しすぎだって怒られた」
「ふふっ……らしいね。っと、此処が最上階。ロック解除するから待ってて」
キーボードに手を掛けた時、続の声が耳を刺した。
「“初から続そして終”」
「初から聞いたんだ?」
「まさかお前に会うと思ってなかったからな」
(主上の兄貴いたぞ)
(続様ですか)
(主上のことは呼び捨てなのに様かよ)
(そうしろと仰せつかってますので)
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桜久蘆ヶ(プロフ) - 紫蘭さん» コメント有難う御座います。ちょっとネタ切れを起こしていて更新は気紛れなのですが、宜しくお願いします。主人公ちゃん結構フラフラしてるんでね、オチはまだ先ですねえ(笑) (2016年9月19日 20時) (
レス) id: f39c732943 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - とても好みの作品です！読んでいて飽きないし面白いです。私的に尊さんと付き合わないかなという願望があります← 更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年9月19日 20時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2016年1月4日 4時
