23# 終始 ページ27
自室で書類とにらめっこをしているA。
そして、その横で待機している夜鵺。
「……無理」
「無理じゃありません」
「だって、何これ! 目を通さなきゃいけない紙っ切れ多すぎるでしょ」
「紙切れではありません。大事な書類です」
夜鵺の言葉を聞き流し、Aはひたすら書類に目を通していた。
が、その時、彼女の手が止まった。
「……これ」
「どうか致しましたか?」
驚くAの持つ、書類を覗き込む夜鵺。
「漆黒の王について書かれてる。一体誰が……」
「すぐに隠の方に回して調べさせます」
「いや、ちょっと待って……私読みたい」
「……御意」
ドレスデン石盤が見つかる以前の昔から事は始まっていた。
千早は“吸収”の特殊能力を持った特殊能力者だった。
ドレスデン石盤が見つかるや否や、彼女は影を手にし、時空を司る漆黒の王として覚醒した。
そう、彼女から聞かされた。
自分よりも幾分か幼い少女に。
そして、
“漆黒の王のダモクレスの剣は朽ちない”
いつからか、誰かが気付いた。
否、自分もまた、その一人だった。
ダモクレスの剣は朽ちなくとも、身体への負荷は大きかったのだろう。
巨大な力を前にして、彼女の体の方が朽ちた。
「……一体、誰が」
「最後に名が記してありますね」
「……!? アドルフ・K・ヴァイスマン」
「ということは、白銀の王ですね」
私が今までに関わってきた人間は数知れず。
でも、忘れたことはない。
皆、れっきとした“漆黒のクランズマン”なのだから。
「はぁ……全部取り上げて処分したつもりだったのになあ。
一体何処に隠し持ってたんだろう……」
書類を放り出し、腕を組み、考え込むも思い出せるわけもない。
「交友があったのですか?」
「……一応ね。御前とも、話したことがある」
「そうなんですか」
「あんまり驚かないんだ?」
「Aが昔から彷徨っているのは存じていますから」
「放浪癖みたいに言わないでよ」
千早は、“吸収”のストレインだった。
そして、その力で……多くの物を得、失った。
(御影千早、というんですね)
(本体はね。肉体はA)
(正直、めんどくさいですね)
(まあ……うん)
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桜久蘆ヶ(プロフ) - 紫蘭さん» コメント有難う御座います。ちょっとネタ切れを起こしていて更新は気紛れなのですが、宜しくお願いします。主人公ちゃん結構フラフラしてるんでね、オチはまだ先ですねえ(笑) (2016年9月19日 20時) (
レス) id: f39c732943 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - とても好みの作品です！読んでいて飽きないし面白いです。私的に尊さんと付き合わないかなという願望があります← 更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年9月19日 20時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2016年1月4日 4時
