18# 追跡 ページ22
眼前で止まった白い物体。
半液体状……というか、クリーム?
「生クリーム……。一体、何してたの? 出雲さん」
「ちょっと、ケーキをな。八田ちゃん、危ないで」
「A、悪い!」
美咲が手を合わせて勢いよく謝ってくる。
「あ、ううん。大丈夫。ボウル貸して。クリーム入れるから」
「お、おう」
無事、クリームをボウルに戻し、美咲に手渡す。
「私も手伝おうか? というか、どうしてケーキ?」
「アンナが食べたいらしくてな」
「買ったのじゃなくて、手作りの?」
「そういうことや」
買ったものより、手作りの。
手作りのものって、作った人の気持ちが籠っていて、私はすごく好き。
特に、夜鵺特製のガトーショコラは大好きだ。
「アンナ、一緒に作ってもいい?」
「うん。ヒヨリ、一緒に作ろう」
アンナはエプロン姿で、泡立て機を握ってそう言った。
出雲さんからエプロンを借りて、袖を捲り上げると、鎌本くんが声をかけてきた。
「御子神さん、ケーキ作れるんスか?」
「御子神の当主になれない分、夜鵺にこういうことばっか教えて貰ってたからね」
「流石ッス!」
「てことは、八田ちゃんや伏見がよく貰ってきてた菓子類、ってAちゃん作ったんか?」
「あ、うん」
「そういえばそんな時もあったな」
その時、ふと思い出した。
大事なことを伝えるために来たんだった。
でも、取り敢えずはケーキを作ってからにしよう。
アンナも美咲も楽しそうだし。
そんなこんなでケーキを作り終え、吠舞羅のみんなと美味しく頂いた。
「……尊さん」
「何だ」
「私、今日は大切な話があって此処に来たの」
「言え」
「多々良さんを殺した奴について。隠が情報を掴んだから、伝えに来たの」
「!」
「みんなも、聞いてて」
多々良さんを殺害したのは第七王権者“無色の王”。
が、乗り移った他人。
その他人の中身が多々良さんを死に至らしめた。
無色の王は他人の体を乗っ取って行動していて、足取りは掴みづらい。
けれど、多々良さんを殺害した際の依代の少年は特定できた。
白銀の髪を持った、男の子。
(さっきの生クリーム、御子神さんに当たってたらどうなってたんスかね)
(Aが怒ったところ……あんま見たことねーからな……)
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桜久蘆ヶ(プロフ) - 紫蘭さん» コメント有難う御座います。ちょっとネタ切れを起こしていて更新は気紛れなのですが、宜しくお願いします。主人公ちゃん結構フラフラしてるんでね、オチはまだ先ですねえ(笑) (2016年9月19日 20時) (
レス) id: f39c732943 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - とても好みの作品です！読んでいて飽きないし面白いです。私的に尊さんと付き合わないかなという願望があります← 更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年9月19日 20時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2016年1月4日 4時
