16# 鮮明 ページ20
「何だよ、それ」
「変な記憶は消してないよ! だから、その……何度か力を交えた記憶だけを、ポンっと……」
「……」
「ごめん……。自分が怖くなって、逃げてた」
猿比古は黙ったまま、私に視線を突き刺す。
お説教か、そのまま黙って何処か行っちゃうか……。
「友達、なんだろ?」
「え?」
「前にお前のこと聞いた時に、ミサキが言ってただろ。友達だって」
“Aは良い奴だ。俺も猿比古も、Aの友達だからな!”
言ってた。
“誰だって隠し事の一つや二つぐらいあんだろ。
だから、別に怒りゃしないし、嫌いになるわけないだろ”
「……丁度、迎えも来たみたいだしな」
猿比古の目線の先には、
「王を返してもらいに来た」
「Aちゃーん! 迎えに来たよ!」
「連……阿須波……!」
阿須波が連の力で作り出した硝子玉を覗きながら、向かってくる。
「何か増えてるし……」
猿比古にとってあの二人は初対面。
口元が引き攣ってる。
「二人は通称“海外組”の阿須波と連。今年帰って来たの。勿論、私の“クランズマン”だよ」
「お前のクランは変わった奴ばっかいるな」
「それぞれ見せる色が違って楽しいよ? 個性的で」
「チッ……個性が強すぎんだよ」
猿比古にとって、彼らの示す鮮やかな個性の色はうざったいものなのだろう。
何というか。
時々、蛍光色……的な?
「ふふっ……猿比古ならいつでも歓迎だからね!」
「お前のクランズマンなんざ冗談じゃねぇ」
「どうして?」
「……チッ」
私も意地悪な質問をしたものだ。
その質問は無かったことにして、私は踵を返した。
「それじゃ、私は失礼するよ。またプライベートで会えるといいね、猿比古」
「あぁ」
私が手を振ると、同じように小さく手を振り返してくれた。
屯所を後にしようとしたその時、とある人物の声が耳に入った。
「御子神A!」
「あれ……宗像さん?」
宗像さんは階段の上で立ち止まると、眼鏡のブリッジを押し上げ、口を開いた。
「一つ大事なことを言い忘れていました」
「その、大事なことって?」
「……青と漆黒。手を組みませんか?」
両手の人差し指で“ペケ”を作り、彼はそう言った。
(“ペケ”といえば、稚都くん、ずっとお喋り“ペケ”だね)
(裏で初喋りとか何なんだよ。しかも何で阿須波と……)
(む……稚都くんのお口は“ペケ”!!)
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桜久蘆ヶ(プロフ) - 紫蘭さん» コメント有難う御座います。ちょっとネタ切れを起こしていて更新は気紛れなのですが、宜しくお願いします。主人公ちゃん結構フラフラしてるんでね、オチはまだ先ですねえ(笑) (2016年9月19日 20時) (
レス) id: f39c732943 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - とても好みの作品です！読んでいて飽きないし面白いです。私的に尊さんと付き合わないかなという願望があります← 更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年9月19日 20時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2016年1月4日 4時
