15# 輪廻 ページ19
「ほお……興味深いですね」
「面白がらないで下さい。私にとって結構深刻な問題なんです」
転生を繰り返すこの存在。
私はもう嫌になってきている。
潔く息絶えるべきだと思っているのに。
「それは何故ですか?」
「私はずっと……漆黒の王として器を移りながら生きてきました。
でも、私はそれを終わらせたい。器となったその人自身の人生を、歩ませてあげたいんです」
「……ですが、今のところ逃れる方法は分からない。と」
「そういうことになりますね」
勿論、器となった人物の意思を私の中に含まれている。
あくまで私というのは記憶と力と、感覚だ。
「室長」
「御子神を借りてもいいですか」
「どうぞ」
猿比古は宗像さんの返事を聞くと、私の手を取って廊下へ出た。
「猿比古……!」
「……」
「ねえ……猿比古、どうした――」
「うるせえ! 少し黙ってろ!!」
怒ってる。
手首を握る力が強い……。
ギリギリと、痛む。
「猿比古、手……痛いよ」
「っ……悪い」
階段を降りた辺りでやっと手を離してくれた。
少し、赤い痕が残っている。
「……怒ってる、よね」
「……遠回しに死にてえって、言っただろ」
「言ったよ。記憶と力は全て殺して、器はそのまま残したいけど……」
器はそのまま返したい。
ただのストレインの、御子神Aに。
「ヒヨリ」
「?」
「他に何か言ってないことでもあるんだろ。親指を拳で握り締めるその癖……」
ふと気付けばしているこの癖。
隠し事をしている時、必ずする癖だと、彼は言いたいのだろう。
「言いたく……ないなぁ」
「言え」
「傷付けたくないから……言いたくない」
美咲と猿比古。
二人と力を交える度に怖くなって、記憶を消し去った。
そして、次の日は何事もなかったように過ごしていた。
「……美咲と猿比古の――」
「俺とミサキの、何だよ」
「二人の記憶を……消したことがある。和泉の力で」
「は……?」
(ミコさん発見。セプター4の屯所内に確認)
(はあ!?)
(Aちゃん大丈夫なの!?)
(無事っぽいですけど。というかあの人、簡単に殺される人じゃないでしょ)
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桜久蘆ヶ(プロフ) - 紫蘭さん» コメント有難う御座います。ちょっとネタ切れを起こしていて更新は気紛れなのですが、宜しくお願いします。主人公ちゃん結構フラフラしてるんでね、オチはまだ先ですねえ(笑) (2016年9月19日 20時) (
レス) id: f39c732943 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - とても好みの作品です！読んでいて飽きないし面白いです。私的に尊さんと付き合わないかなという願望があります← 更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年9月19日 20時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久遠深ヶ | 作成日時：2016年1月4日 4時
