ガイスト達（裏） ページ42
今日は僕達にとって、とても素晴らしいことがありました
昨日までに起きた内乱の所為で人間たちはみんな慌てていて、みんな僕らに構ってくれません
僕の友達の花瓶君なんかは、中の花が萎れてきてすごく嫌そうです
他の友達も、内乱のせいで何体か欠けてしまいました
僕はこの王宮の客室にある本棚です
そのおかげか内乱の影響はないですが、爆発が起こった時はみんなと一緒に震えていました
僕らは人間からすると、ただの“物”です
人間は僕らに心があるなんて知らないし、僕らも人間と話したり、自分で動くことなんて出来ません
だから人間に伝えたいことがあってもなにも伝えられません
僕らは、コブラさまが何も悪くないことも、軍の中に裏切り者がいることも、全部分かっていました
コブラさまを悪く言う人に我慢出来なくて、怒鳴ったこともあります
でも、僕らは何も出来ませんでした
それがすごく嫌で嫌で、悲しかったです
でも内乱は収まって、ビビさまも戻ってきました
沢山怪我をしているけれど、雨が降って、みんな嬉しそうです
僕の居る客室に運ばれてきた傷だらけの人達は、この国の本当の英雄です
でもこの人達は海賊だから、英雄なのに英雄と呼ばれません
コブラさま達だけでなく、僕らもこの人達が英雄だと知っています
けど僕らは“物”だから、誰にもこの事を伝えられません
とても悔しいけれど、それが当たり前なんです
けれど、今日最初に起きた英雄は“当たり前”じゃなかったんです
その英雄にずっとくっついてたへんな小さいのも、なにか違いました
その英雄は、その目に僕らを映していました
目が合った様な気がして観察していたら、その英雄は困った様な顔をして観察している僕らを見ました
見えていると分かって、ついついちょっかいをかけてみたけれど、無視されてしまいました
やっぱり見えてなかったのかと思って落ち込んでいたら、その英雄は声を掛けてくれました
他の人達には僕らが見えないから、話しかけられなくてすまなかったと言われて、僕らは慌てて謝りました
僕らのことを人間は見えないのが普通だったから、そのあたりのことを何も考えていませんでした
その後、英雄…紫蘭さまは、僕らに沢山の旅の話をしてくれました
他には、小さいのはツークフォーゲルで、紫蘭さまの能力でミニキャラ化、と言うのをしているのだとか
紫蘭さまはもともと僕らと似たような存在で、事情があって人間の様になっているのだとか…
*
続きます
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作者名：テア． | 作成日時：2017年12月11日 20時
