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「しょう、た」
電話はしなかった。代わりに直接会いに行った。山田に聞いて、今働いている研究所まで新幹線にのって、Aが出てくるのを待った
我ながら非合理的だった。もっと段取りをつければよかったものを、そんな余裕はハナからなかった
「髪長い〜」
「悪かった」
「えーなに？」
「我慢させた。待たせた。嘘ついて、苦しめた、すまない」
「別にいいよー彼女いなかったんだから」
「よくねぇよ、お前なんでそんな呑気なんだ？！」
こっちは罪悪感で心臓潰れそうだってのに。久々の再開に少し動揺を見せただけで、すぐにへらへら笑いだす
俺は抱き着いてきたAを抱きしめ返して呆れたように、強い口調で問いただす
「だって来てくれたもん」
「…は？」
「嘘じゃないもーん」
「馬鹿っ、お前、俺が何したか分かってんのか？」
「幼馴染ですから」
変に堂々というから、中途半端に開いた口から変な声が洩れた。変な顔、と笑って抱き着いてくるから、俺は戸惑い半分謝罪半分に体を無理矢理引き離して、まっすぐにAの眼を見つめる
「詫びさせてくれ」
「やだ」
「気が済まない。謝らせてくれ、ひどい仕打ちして、普通でいられる訳な、」
「うるさあああい！！！」
近くにいた小鳥がばさばさと飛んで行く音がした
耳が痛ぇ。鼓膜が破れそうな声量に驚いて手を離すと、Aは俺の胸に飛び込んでしょうちゃん、とかすれた声で呟いた
ああ、そうだ。Aはこういうやつだった。忠犬ハチ公みたいに俺を待つのが得意で、変な所だけ頑固だった
安心する匂いがした。少し痩せたな。髪は少し明るくなった。背が高い。ヒールのせいか。狭い背中を撫でて、そんなことを考えた
上げられた綺麗な顔が、うっすらと色づいていた。一重に下がり気味の眉。親指で撫でると嬉しそうに垂れる目尻。黒子にそっと触れて、華奢な肩に顔を埋めた
「ねぇねぇもう我慢終わり？」
「…終わりだよ」
「ほんと？嬉しい〜」
溶けてしまいそうな声に、泣きそうになった。好きだよ。囁いて、俺の頭を優しく撫でた
全ての感触が愛しかった。背中に回った細い腕や、抱きしめた小さな胴、首元から香る薄い香水の匂い、日向みたいな声
しょうちゃん、と消え入る声で呟いた
黙っていると、消太、ともう一度呟いた。そういうことじゃねぇんだよ。彼女の勘違いになんだか笑えてきて、赤くて薄い唇にキスをした
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William(プロフ) - わ~コメントありがとうございます(^^)あのお話は数年間懐で温めてた自信作だったのでそう言っていただけて嬉しいです。番外編、頑張って更新しますので楽しみにしていてくださいね。いつもありがとうございます。 (2020年5月24日 23時) (
レス) id: 3ee161ce59 (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - 相澤先生のお話で目を舐める話を最近読んですごく印象に残ってたから読んでみたんですが、同じ作者様だったんですね！！好きです！！ (2020年5月24日 23時) (レス) id: 8f61effecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：William | 作成日時：2020年5月23日 0時
