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「しょうちゃん」
って呼んでました。テレビから聞こえた声は幾分か大人びていて、けれどAのそれだったから思わず顔を上げた
「ずっと、好きなんです。いや、両想いだったけど…色々あって、今は音信不通です」
「え、それって自然消め」
「違いますー！待ってろって言ってましたー！」
「頑固だな〜」
ゴールデンタイムのバラエティ番組で、出演してるのはAだった。持っていたビールの缶が音を立てて落ちる
スペシャルゲストって、お前だったのかよ。偶然つけたテレビの序盤、今回は特別出演者がいると告知していたが予想がつかなかった
俺がヒーローとして活動しているのを気遣って、「しょうちゃん」の現在の姿は九州で働く警備員ということになっていた。でも、元気なのが見れて満足だ
Aは会ってない空白の数年について、楽しそうに話した。元気そうだったから安心して、俺について触れたのは最初だけだったから、もう話題には上がらないだろうと最後まで見届けた
「しょうちゃん」
離れようと言ったのは自分なのにと、情けなくてもう消そうと思った矢先、Aはまっすぐこちらを見て俺の名前を呼んだ。画面越しなのに、体が動かなかった
一重の目は、俺を見ていたいつもの優しげなものだった
「怒ってないよ。諦めてもないの。だから、もし見てたら、返事ください。彼女出来てたら要らないけど。山田君が連絡先持ってます。電話してね」
待ってる。へにゃりと溶けてしまいそうな笑顔。スタジオは余韻のあまり拍手でいっぱいになる。照れくさそうに会釈して、へらへら笑って、それを見届けて電源を切った
今思い返せば、番組の趣旨は会えなくなった、もう伝えることのできない人へのメッセージを放送するやつだった。見てよかったのか悪かったのかは明らかだが、当時は死ぬほど後悔した
苦しめたのに、それでも俺の言葉を信じて疑わずに待っていた。今度は数分なんてもんじゃない、数年なのに。死ぬまでだったかもしれないのに
会いたくて仕方なかった。俺といるだけで幸せそうにするAが、可愛くて可愛くて仕方なかった
零れた愛情が留まるのを知らずに、濁流みたいに溢れた。俺はそれに溺れて、声を押し殺して泣いた。頬から滴る熱い涙が顎を伝って、小さな池を作った
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William(プロフ) - わ~コメントありがとうございます(^^)あのお話は数年間懐で温めてた自信作だったのでそう言っていただけて嬉しいです。番外編、頑張って更新しますので楽しみにしていてくださいね。いつもありがとうございます。 (2020年5月24日 23時) (
レス) id: 3ee161ce59 (このIDを非表示/違反報告)
モンキーリボン(プロフ) - 相澤先生のお話で目を舐める話を最近読んですごく印象に残ってたから読んでみたんですが、同じ作者様だったんですね！！好きです！！ (2020年5月24日 23時) (レス) id: 8f61effecf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：William | 作成日時：2020年5月23日 0時
