彼の弟子と ページ20
「サーの最期の時間を俺に譲ってくれてありがとうございました！」
以前家を訪れた男の子はミリオ君と言うらしい。
精悍な顔つき。もうふっきれている声音。彼は既に正真正銘のヒーローだ。
サーがよく話してたっけ。私は彼の言葉にちょっと驚いて優しく笑いかけた。
「ふふ、別にいいのに」
「いえ！気がすまないんです！」
「そう…今日、庭の手入れをしたいの。手伝ってくれる？」
「もちろん！」
彼を中に招いてお茶をしながら話した。
ミリオ君は私がサーについて話すと毎回目を見張っては驚いた。
バブルガールもそういってたよ。私は笑って視線を落とす。
心を許されていたんだなあと思うと嬉しくて、喉奥にその暖かい感情を抑えた。
「彼、君のこと気に入ってたわ」
「Aさんのことも気に入ってたんだよね！」
「そうね。私もそう思う…自意識過剰かしら？」
「まさか！自信持ってください！」
結局彼は本当に庭の手入れを手伝ってくれた。
大きな家ですね！ミリオ君は見回して言う。買い取ったの。元々アパートだったんだけど。
彼は私を振り向いた。気まずくて顔は見れず、未練がましいかしら、なんて笑う。
思い出は大事にした方がいいです。彼は笑って私を見た。
「それにしても綺麗にしてますね！花が好きなんですか？」
「好きよ。心が安らぐの」
「似合いますね！」
「ふふ、ありがとう」
「どういたしまして！因みにサーはこれが好きでしたよ！」
「……そう…嬉しいわ」
「…思い出の花ってやつですか？」
「えぇ。そうなの」
「優しい目をしてましたから」
二人共ね。彼は笑って空を仰いだ。
私は熱くなる目頭を抑えて満開のユキヤナギを見た。
サーと1年を越したかった。
彼と会ったのは春の終わりで、別れは秋の中間。
冬も、この先も、ずっと二人で過ごしたかった。
「ミリオ君は煽てるのが上手ね」
「たっは〜！才能なんだよね！」
「ヒーローになるなら、褒める才能は必要よ」
彼は気を使って終始私の顔を見なかった。
「今日はありがとう」
「いえ！人助けはヒーローの本分ですから！」
「そうね…立派なヒーローになるわ」
「本当ですか〜？！後になっても取り消さないでくださいね！」
彼は笑って、私に小箱を渡して去っていった。
静かに開けると、大きな指輪が収まっている。
貴方も予備、買ってたのね。
「…未来、」
親指に嵌めても取れてしまいそうな眩いそれに、私は涙を零して口づけた。
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有栖 - 家族の前で！！！！！！！！！泣きました！！！！！！！！！さいこうです！！！！！！！！！ (2021年10月20日 18時) (
レス) @page22 id: fca2a71135 (このIDを非表示/違反報告)
William(プロフ) - 外道さん» とても直接的なコメントありがとうございます笑思いが伝わってきました。そういっていただけて嬉しいです。これからも不定期で思い出したように更新しますので是非楽しんでいってくださいね(*^^) (2020年5月20日 8時) (レス) id: e02290bc81 (このIDを非表示/違反報告)
外道(プロフ) - 泣きました (2020年5月20日 1時) (レス) id: 3ba5823a10 (このIDを非表示/違反報告)
William(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます。サーナイトアイの小説は少ないので悲しくて…考えに考え抜いた結果この作品を書くに至りました。そう言っていただけて嬉しいです。更新頑張るのでぜひ楽しんでくださいね(^^) (2020年4月19日 22時) (レス) id: 3ee161ce59 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - サーーーー！！！！！！！素敵な作品をありがとうございます！出会えて良かったです！ (2020年4月19日 21時) (レス) id: f760c82735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：William | 作成日時：2020年4月18日 23時
