マーガレット ページ11
「さ、サー？これ、は、」
目が覚めて顔を擦ると違和感があった。
まだしょぼしょぼする目で左手を見ると、薬指の根本には眩い光を放つ指輪があった。
私はベッドから飛び起きて、もぬけの殻になった隣を呆然と見つめてからリビングに向かうと、彼は既にスーツに着替えて新聞を読んでいる。
「指輪だ。要らないなら売り払ってくれ」
「要る！要ります！」
「朝から元気なのはいいことだ。私のサイドキックにも見習わせたいよ」
彼は落ち着き払って、座れとでも言うように空いた隣をポンポンと叩いた。
私は恐る恐るソファに腰を下ろす。彼は微笑んで、再び朝刊に目を戻した。
「…サーは、つけないの？」
「あぁ。職務中になくすのを避けたいんだ。事務所の引き出しにしまってある」
「そう…ふふ、綺麗ね」
「…貸してみろ」
「どうして？」
「…こうすると、色が変わる」
「わぁ…ほんとね、素敵だわ」
彼は躊躇う私の左手ごと窓から差し込む日差しに指輪を照らした。
光は宝石の色を変え、時には繊細に輝いたり、鈍く反射したり、鮮やかな色彩を作り出したり、見る目を楽しませる。
たしかこの指輪のブランドは、職人が個性を使って一つ一つオーダーメイドすることで有名だった筈だ。
「でも無くすのが怖いから、私も外していようかしら…」
「それを見越して予備も手配済みだ」
「…私ってそんなに信用ないの？」
「そうは言ってないだろう。普段の生活態度を見るに心配だっただけだ」
「遠回しに肯定してどうすんのよ」
私は苦笑して彼を見上げた。サーは新聞をローテーブルに置いて私を抱きしめた。
広い背中に腕を回して彼の胸に頬を擦り寄せる。
頭にキスをされる感覚。私は顔を上げて彼の金色の目を見つめた。
「今、世界で一番幸せな気がする」
「…君もありきたりな事を言うんだな」
「ええ、好きよ、ありきたりな事。変？」
「まさか。私は世界で一番君を愛しているぞ」
「もう…単純ね」
ケラケラと笑うと、サーは私を抱き上げて自分の膝の上に座らせた。
私は彼の眼鏡を外して首に腕を回す。
愛おしそうに微笑んで、私の額や頬、瞼の上にキスの雨を降らせた。
好きよ。囁いて、細めた目で彼を見つめた。彼は愛しそうに私を見つめ返した。
啄むようにキスを何度か繰り返す。最後に長く唇を重ねてから、額をコツンと合わせて笑いあった。
「未来、」
囁いて目を瞑ると珈琲の匂いが香った。私は彼に身を預けた。
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有栖 - 家族の前で！！！！！！！！！泣きました！！！！！！！！！さいこうです！！！！！！！！！ (2021年10月20日 18時) (
レス) @page22 id: fca2a71135 (このIDを非表示/違反報告)
William(プロフ) - 外道さん» とても直接的なコメントありがとうございます笑思いが伝わってきました。そういっていただけて嬉しいです。これからも不定期で思い出したように更新しますので是非楽しんでいってくださいね(*^^) (2020年5月20日 8時) (レス) id: e02290bc81 (このIDを非表示/違反報告)
外道(プロフ) - 泣きました (2020年5月20日 1時) (レス) id: 3ba5823a10 (このIDを非表示/違反報告)
William(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます。サーナイトアイの小説は少ないので悲しくて…考えに考え抜いた結果この作品を書くに至りました。そう言っていただけて嬉しいです。更新頑張るのでぜひ楽しんでくださいね(^^) (2020年4月19日 22時) (レス) id: 3ee161ce59 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - サーーーー！！！！！！！素敵な作品をありがとうございます！出会えて良かったです！ (2020年4月19日 21時) (レス) id: f760c82735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：William | 作成日時：2020年4月18日 23時
