revolving lantern : (ページ24)

今日:1 hit、昨日:49 hit、合計:18,732 hit

7 ページ24

*

夜ご飯を用意してお茶を冷蔵庫まで取りに行き、先に食べ始めている彼のコップに注ぐ。「打ち合わせどうだったの？」と聞かれたから、上手くいったよと軽く話しておいた。

「会わなかった？」

「…うん」

「本当に？」

「会ってないよ」

仕方がないから信じてやる、ぐらいの気持ちでようやく受け入れられる。

「あと、相談なんだけど」

相談というのは個展の事だ。というのも、知り合いや身内だけを入れる日を数日設けるつもりでいた。だから運が悪ければ彼と大希さんがバッタリ、なんて事も有り得るのだ。

というか、まず大希さんを呼んでもいいかの了承から取らなければならない。

「個展、常田さんも呼んでもいいかな」

彼の前で大希さんと言うのも怖くて、久々に苗字で言った。
案の定さらに表情が曇る彼に不愉快に心臓の音がうるさくなる。しばらくしてこれでもかと言うほど重いため息をつかれてから、彼は箸を置いて私を見た。

「良いと思う？」

1番最悪な返事だった。どう言われても返せるように頭の中で色んなパターンを練習していたのに何も出てこない。

「なあ」

「いや、ごめん…呼びたい」

「なんで？」

「約束したから」

「なにを？」

まるで尋問のように問われた。彼は私をじっと見つめているのに私は一向に彼の顔を見れなかった。

「見に来て下さいって、…ごめん」

「…まあいいわ」

「え？」

そう言われて始めて顔を上げて彼を見た。

「でもその前に俺にする事あるよな」

そう言って椅子から立ち上がり隣のソファに腰をかける彼。足を開く彼は「はやくして」と私を睨みつけるように見ている。

愛し合う訳では無かった。
それはただの奉仕で、彼も私が喜んでいない事は分かってるはずだ。それが気持ちいいのかもしれない。

こころのどこかではいつの間にこんな関係になってしまったんだと辛くなる。

まあ、そうだよな。これぐらいで済むなら良い方だ。順調に付き合っていく上ではこういうことも必要なんだ、と言い聞かせて、彼のズボンのチャックを開けた。

*

「電話きたから出てくるね」

結局最後まで行為は続いて、移動した寝室のベッドでスマホを触る彼にそう伝えたけれど返事は無かった。かかってきた電話は井口さんからだった。

頭と肩にスマホを挟んで、部屋を出て下着をつけながら電話に出る。

「もしもし、お疲れ様です」