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「…もしもし、」


「まだ帰ってこないのか?」


「うん、何時になるか分からないから先に寝ておいてってちゃんと伝えたよ。」


「酔ってんじゃんか、どーやって帰ってくるんだよ。
終電ないんだぞ?」


「始発で帰るよ。
繁華街だからタクシーもいるし、大丈夫だって」


「…どこで飲んでるの?」


「銀座の辺りだけど…どうして?」


「別に、なんかあったら迎えに行けるように聞いただけ」


「…ちゃんと帰る時に連絡するから。安心して

おやすみ。」




電話を切って一息つく。
電話が来たのがまだ人が少ないこのバーカウンターで良かった。

私の電話から男の声が聞こえでもすれば知ったら怒り狂ってどうなるか分からない。



「はぁ…」



ため息をつく。
正直、彼への気持ちは冷めている。
ただこうやって、心配して電話をかけてきてくれてると思えば一緒にいるべき人は彼なんだろう、とも思う。

彼とは付き合って5年、同棲歴2年。もう年齢的にも結婚しておかしくは無い。

冷めたからって別れようなんて簡単にできないのだ。





「Aちゃん」



「わっ、常田さん…」




驚かすようにまた私の背後から声をかけたのは常田さんだった。



「もしかして電話聞いてました?」


「…まー、聞こえた」


「すみません、お恥ずかしい…」


「聞くつもり無かったんだけど、俺も水取りに来たもんで」



常田さんも水を貰うと、私も思い出したように手に持っていた水を飲んだ。




「帰らなきゃいけねーんだったら、別に俺らの事気にすんなよ」


「大丈夫ですよ、ほんとに…常田さんこそ心配なさらないで下さい」


「…Aちゃんさ」


「はい、?」


「俺にだけ、めっちゃ丁寧に話すよな」


「いや、そりゃ、恩師と言うか…先生?恩人みたいな」


「なんのだよ」


「今仕事が忙しくなったのも、常田さんのおかげでようやく芸術家として1人前になれたからなので」


「そりゃ良かったけど、Aちゃん全然心開いてくれねーなって嫌われてんのかと思ってたわ」


「え、そんな、嫌いじゃないです!!寧ろ大好きです!!」




…大好きです?大好きですって言った?
嫌われてると思われたくなくて、反射的に大好きですなんて告白してしまった。

さすがの常田さんもポカンとしている。

そして大きな声で言ってしまったせいで、店中に居るみなさんもこちらを向いてしまった。



「あ、あいや、待って、常田さんこれ違くて!」

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(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ 応援してます٩(^‿^)۶ (2月5日 2時) (レス) @page12 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーご | 作成日時:2024年1月30日 4時

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