revolving lantern : (ページ15)

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翌朝。
せっかく買った一週間分の荷物を大希さんが部屋から車へ運んでくれた。新井さんと井口さんは昨日の夜私が帰ったあとに自宅へ帰ったらしい。

まずはスタジオへ行き、その後私の自宅へ送ってくれるらしい。昨日はこの大希さんの提案に申し訳ないと思いながら言い返す術もなく俯いていると、井口さんと新井さんが

「大希は意外に世話焼きだから、
そんな申し訳なさそうにしなくていいんだよ」

と慰めてくれた。
そうは言われても申し訳なさというものは消えない訳だが。

助手席に乗り、後部座席に荷物置いた大希さんが遅れて運転席へ座る。

「忘れもんねえ？」

「はい、ありがとうございます」

大希さんは”ん”、と返事をするとエンジンをかけ発車させた。

「今日帰ったらまた忙しくなんじゃねえの？」

「そうですね、ありがたいことに仕事は沢山あります」

「ありがたい、ねえ。
謙虚やなあ、あんなにツンツンしてたのに」

「あれはまあ、気張ってただけです」

「そう、俺ああいうAちゃんも好きだったけど」

彼が私に言う好き、という言葉に恋愛感情なんて込められているはずもないのにドキッとしてしまう。

私はコウくんの事が好きで、だから今も家に帰らないとって思っている。きっと好きなのは今もずっとコウくんだけ。

私もこんなふらふらしていたら、いつの間にか大希さんのこと本気で好きになってしまうんだろう。

「私も、大希さんの面倒見いい所好きですよ」

「それは先輩として？それとも男として？」

「先輩としてに決まってるじゃないですか」

「ああそう、男としての方が嬉しかったわ」

そう言って笑う大希さん。
こんなこと言われて、色んな女性が彼のこと好きになったんだろうな、なんて想像する。

「大希さんモテるでしょう？」

「どーだろうね」

「きっと付き合いたい子いっぱいいますよ」

「なんでそう思うん？」

「えーそりゃ、
才能もあれば努力家だし...顔もかっこいいし...あと」

「かっこいいかあ、...あと？」

「あと、思わせぶりな発言多いから」

思わせぶりねえ、と大希さんが言う。
気がつけばスタジオ横の駐車場に到着していた。

「それはどっちの話やろうなあ」

「どっち、って大希さんしか...あちょっと、！」

話の途中で先に大希さんが車から降りてしまった。

「ちょっ、大希さん！嫌な事言っちゃいました？」

先々へ歩いていく大希さんを追いかけた。