revolving lantern : (ページ11)

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「もういい歳した大人ですから、こんな事で相談するわけにもいきませんし…」

「俺から見りゃ普通にガキだけど」

「が、ガキって…2つしか変わらないじゃないですか」

「あれ、そうなん？もっと下なのかと思ってたわ」

「そんな子供に見えますか？」

「だって実は結構かまってちゃんやろ、Aちゃん」

「ええ…そうなんですかね」

「いや…まあ俺にはあんまねえけど、なあ和樹」

ん？と言いながら救急箱を漁る新井さん。ちょうど準備が出来たのか、手借りるよ、と私の手の処置を始めた。

「ああ、なんかスタッフさんが言ってた。

Aちゃん作業しながらすげえ喋りかけてくるから全然進まないって」

笑いながらそう言う新井さん。

「嘘、絶対嫌われてますよね…それ」

「そんな事ないよ、大希なんかほら、たまに怖いじゃん？」

「そりゃスタジオに缶詰状態だったら普通そうなるわ。」

「それはそうだけど...

だから大希はずっとAちゃんに話しかけられなかったんじゃない？」

「え、そうなん？」

「えっいやいや、そんなことないです！」

咄嗟にそんな事ないと片手で手を横に振る動作をする。

「じゃあなんで俺に全然話しかけてこなかったん？」

「...それは、大希さんの仕事邪魔したくないからで」

私がそう言うと、常田さんはふうん、と拗ねたようにそっぽを向いてしまった。メンバーの中で常田さんと居た時間は1番長かったけど、会話は1番少なかったかもしれない。

「はい終わり、顔はこれ当てといて」

新井さんに渡されたのは冷やされたアイシングバッグ。
独身男性の家にこんなもの置いてあるんだなあと少し感心した。

「ありがとうございます

新井さん、こういうの慣れてるんですね」

「そう？

まあ、大希もたまに怪我するからね。」

「こんなボコボコにされた事はねえわ」

ボコボコなんてワードに私が思わず笑ってしまうと2人もクスクスと笑っていた。

「じゃあ大希、おれ布団借ります」

「理も連れてけよ」

「やだよ、起こしたくないもん」

ふたりが見つめる先にはいつの間にか座りながら爆睡している井口さん。おやすみーと新井さんがリビングを出ていき、おやすみなさいと声をかけると手を振って微笑んでくれた。

「俺コーヒー飲むけど、飲む？」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

ん、と返事をして大希さんはコーヒーを飲むためのお湯を沸かすついでに、爆睡中の井口さんを起こしに行った。