解かってた ページ14
『んん...。』
特に悪い夢を見ることもなく、目が覚めた。
空を見れば、星ではなく、明るい太陽が輝いていた。
『眩しい...。』
ボソッと声に出してみる。
なんだか少し頭が痛い。
とりあえずベッドから降りて、リビングに向かう。
「おはよう。」
『ん、おはよ。あれ、今日ってなにかあったっけ？」
お母さんが珍しく化粧をしているから、そう尋ねてみる。
「何言ってるの。今日はお兄ちゃんの法事でしょ。」
『...もうそんな時期か。』
トーストした食パンに噛り付きながら考える。
お兄ちゃんも、私のことを庇って死んだ。
最期にお兄ちゃんが言った言葉は数年経った今でも思い出せる。
「俺の分も生きろよ。」
お兄ちゃんはずっと、自分の幸せより人の幸せを優先する人だった。
あぁ、初兎もそうだったな。
二人とも、他人のことしか考えてなかった。
残された人の気持なんか、知らないんだ。
無意識のうちに唇を噛み締めていたようで、血が出てきている。
腕でグイッと唇の周りを拭いて、お母さんを見る。
「早く準備しないと置いていくわよ。」
『はーい。』
皿を下げて、服を選ぶ。...制服でいいよね。
髪をまとめて、靴を履き、外に出る。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「どうする？先に帰っておく？」
法事がある程度終わり、お母さんにそう聞かれる。
『帰っとく。』
「気を付けて帰るのよ。」
軽く頷いて、ゆっくり歩き出す。
そういえば、初兎が最期に伝えようとしてた言葉ってなんだっけ？
四文字、だった気がする。
....まぁいいか。
ボーっとイチョウやカエデの木を眺める。
「綺麗やな〜。」
『そうだね。』
そう言って、去年はここの道を初兎と歩いた。
今思い返せば、その時初兎が見ていたのは、木ではなくて、私だった気がする。
『私ってバカだなぁ。』
初兎が最期に言った四文字。木ではなく私を見ていたこと。
考えれば簡単に解ること。
私は歩く足を止めた。
『初兎....！』
そうポツリと呟いて、走り出した。
初兎にちゃんと伝えなきゃ。
由菜と仲直りしたこと？
ううん。違う。
初兎と約束した内容を思い出したこと？
これも違う。
あの日の返事を、伝えなきゃ。
そんな思いだけで私は足を動かし続けた。
躓いて転んでも、周りの人から冷たい目線を向けられようと、どうでもよかった。
ただ、初兎のことで頭がいっぱいだった。
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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (
レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜！すみません💦涙を止めること....できないですねｗ ハンカチで拭いといてください！！() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます（？） (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな？？ (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Near | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年9月5日 18時
