「Last」 ページ49
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『望…』
弾けては消え、何度も夜空に咲く花。
花火を見上げる望の横顔は、息を呑むほど、ビー玉のように綺麗で。
苦しいくらいに胸が締まる。
『あのさ、』
「俺のことも意識してや」
『…え？』
「好きやねんて。気づけアホ」
不意にこっちを見た望の目は、苦しそうに少し歪んでいるような気がした。
「意識して」
ずっと、思っていたこと。
同じことを思っていたんだと、嬉しくなって。
顔を歪める望とは反対に、私は笑みをこぼしていた。
「なんで笑うねん」
『え？ふふ、ううん。
私たちやっぱり親友なんだなーって』
「…なあ、俺の話聞いとった？」
『ちゃんと聞いてたよ。
私も、ずっと同じこと思ってたの』
みんなが望を振り返る度に、胸が痛くなって。
私の方が知ってる。私の方が距離が近い。
望に寄ってくる異性に勝手に嫉妬して、でもその反面そんな彼女たちが羨ましくて。
私には、そんな女の子らしい一面はない。
振り向いてもらおうと頑張る姿なんて、最初から諦め気味の私にはなかった姿だから。
余計に、羨ましくて。
『本当は、望との関係が壊れるのが嫌で、言わないでおこうって思ってた』
『でも今日くらいはいいかなって』
『好き。望のことが、好きなの』
言葉にしたら、また好きが積もる。
ぐいっと引かれた腕。
重なった唇に目を閉じることもできないまま、あっという間に離れていく。
「顔真っ赤」
『う、るさい』
花火はちゃんと見たい。
私の我儘に拗ねたように頷いて。
でも代わりに、空を見上げたままぎゅっと手を握る。
一気に何発も打ち上がる色とりどりの花火。
その綺麗さを、二人で二等分できるのが嬉しくて。
『望』
『今日誘ってくれてありがと』
重ねられた手に、ぎゅっと力を込めた。
「A」
『なに』
「こっち見て」
『……っ、！！』
「Aってキスすると顔赤なんねんな」
『花火見るって言った…！』
「あは」
付き合った初日にキスするなんて。
ありえない、なんて思ったのも束の間、やっぱり望とならいいや、なんて。
『ばか』
「え」
ちゅ、と音を立てて離れた唇。
頬を抑えて顔を赤くする望に、思わず笑う。
『ふふっ、隙あり』
いつもと少しだけ違う日。
この日だけの魔法に力があるのなら。
私は少し、頼りすぎたのかもしれない。
「大胆」
『っ、言うなばか！！』
『ラムネ』Fin.
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凜憧(プロフ) - まさなさん» ありがとうございます。私も今は徐々に自分を奮い立たせてなんとか行ってます…笑 少しでもお力になれるよう、これからも執筆を続けて参ります。 (2019年12月7日 1時) (
レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
まさな(プロフ) - 凜憧さん» あれ、読んでくれてるんですか！？嬉しいです！海の滴のあとがきで泣きました。私も数ヵ月前まで保健室登校だったので、凛憧さんの気持ちが分かりました。いつまでも応援してます (2019年12月7日 1時) (レス) id: 709458c7d0 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - まさなさん» なんて嬉しいことを言ってくださるんですか…！大ファンだなんて、もう泣きそうなくらい嬉しい言葉です… チラッと作品の名前を拝見させていただいたのですが、ままがむかえにこなかった。という作品、私読んでおります！！笑 お互い頑張りましょう！ (2019年12月7日 0時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
まさな(プロフ) - 『海の滴《紫》』も読んでるんですよ。『夏恋注意報《赤》』も読んでます。そして他の作品もすべて読んでます。私って凛憧さんの大ファンじゃないですか？（唐突）大好きです！頑張って下さい！応援してます(о´∀`о) (2019年12月6日 22時) (レス) id: 709458c7d0 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - ばと担さん» ありがとうございます！わ、キュンキュンしてもらえてよかったです！嬉しいです、頑張らせていただきます！ (2019年7月9日 11時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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