夏の魔法にはご注意を。

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「ほんまよう飽きひんな」

『飽きる飽きないの話？
私の中ではルーティーンなの』

「ほーん」

『大毅だって、いつも一緒になって食べてるじゃん』

「やってAがめっちゃ美味そうな顔するから」

『私のせいにしないでよ』





そんなくだらない話題に笑いながら、ちびちびとパインを食べてる大毅を見つめる。


浴衣、大毅も変えたんだ。
様になりすぎてる。

流石大毅ママ。センスいい。





「…それ、」

『ん？』

「浴衣、似合ってんで。
髪型とかも、その、…俺が見た中で、一番可愛い」





また、癖出てる。

肘まで落ちた浴衣の袖。
そこから覗く男らしい腕の筋に、ドキッとする。


自分で頑張ったのはメイクくらいだけど、でもそれでも。
可愛いって言ってもらえるなんて思ってもいなくて。

嬉しくて、頬が緩んでしまう。





『ふふ、』

「な、なんで笑うねん！」

『だって、嬉しいんだもん。
大毅も浴衣似合ってる。すっごく、かっこいい…よ』





ああ、私今、きっと顔真っ赤だ。





「お、おう」





お互いになんだか気恥ずかしくなって視線を逸らす。


緩みすぎた頬を元に戻そうとして手で覆っても、更に緩んでいくだけ。


初めて言われた「可愛い」の言葉。
声も雰囲気もそのままに脳裏に焼きついた。





「ニヤニヤしすぎや、アホ」

『いたっ、ちょ、叩かなくてもいいじゃん！！』





軽く叩かれた頭を抑えながら彼を見上げれば、そう言った大毅だって前を見ながらニヤついてるの。

だから左肘で大毅を軽く小突いてやった。





『仕返し』





んべっと舌を出して、笑う。


笑わずにはいられない。
だって大毅、ものすごくあほな顔してるんだもん。

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