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『ねえ』
「ん?」
『今日誘われたりしなかったの?』
「さあ。まあでも、仮に誘われたとしても、俺は絶対Aとの夏祭りを優先しとったやろうな」
『え、なんで』
「なんでって、理由欲しいん?」
『…いや、いらない』
すれ違うカップルを見ては、いいなあ、なんて遅れた青春を待ち望んで。
でもそんな未来の青春を描いてみても、描き方をどう変えたって、そこにいるのは望だけ。
親友への独占欲なんて、聞いたことない。
恋人、幼馴染くらいまでなら良しとして。
「親友」の望に、独占欲なんて。
何様?なんて自分でも苦笑いする。
「食べたいもんは?」
高い背。甘い声。整った顔。
勉強もできて、おまけにスタイル抜群で。
運動神経にも恵まれてる彼に惚れない女の子なんて、きっと私くらい。
だから親友でいてくれてる。
そう思ったら、その壁は絶対に越えたくなくて。
だってそうしなきゃ、
『なんでもいいよ』
「はあ?お前それ一番困る答えやねんけど」
その気を許したような笑顔も、見れなくなるでしょ?
『じゃあー、電球ソーダ?』
「ラムネ飲んだくせにまた?」
『炭酸かける炭酸いこーる…ね?
未知のなんかがあるかもしれないじゃん』
「いや答え出てへんやんけ」
『少しくらい流行りに乗っかってみたらどうなのさ』
「逆流が楽しいんやん」
『全くもって理解不能』
当たり前に横にいるわけじゃない。
この付き合いだって高校に入ってからだし、学校でもクラスでも、そんなに話すってほどじゃない。
でも、こうやって誘ってくれるから。
「フライドポテトは?」
『いいよ。行こ』
少しは特別なのかな、って、勝手に舞い上がる自分がいる。
「何味?」
『どうぞお好きなので』
「んー、コンソメ?」
『いや、私に聞かなくていいって』
注文だけで、店員さんまでメロメロにして。
罪な奴だと叫んでやりたい。
鈍感なのは、望の方だ。
「んま。食べてみ」
『え、別に自分で』
「ええからはよ」
『…ん、』
ほら、罪すぎる。
自分で食べるよ。
わざわざ人に食べさせてもらわなくたって。
ポテトくらい、自分でとって食べれるから。
「うまい?」
『…うん』
「やろ?やっぱコンソメ選んでよかったわ」
恋人みたいなこと、しないでよ。
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凜憧(プロフ) - まさなさん» ありがとうございます。私も今は徐々に自分を奮い立たせてなんとか行ってます…笑 少しでもお力になれるよう、これからも執筆を続けて参ります。 (2019年12月7日 1時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
まさな(プロフ) - 凜憧さん» あれ、読んでくれてるんですか!?嬉しいです!海の滴のあとがきで泣きました。私も数ヵ月前まで保健室登校だったので、凛憧さんの気持ちが分かりました。いつまでも応援してます (2019年12月7日 1時) (レス) id: 709458c7d0 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - まさなさん» なんて嬉しいことを言ってくださるんですか…!大ファンだなんて、もう泣きそうなくらい嬉しい言葉です… チラッと作品の名前を拝見させていただいたのですが、ままがむかえにこなかった。という作品、私読んでおります!!笑 お互い頑張りましょう! (2019年12月7日 0時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
まさな(プロフ) - 『海の滴《紫》』も読んでるんですよ。『夏恋注意報《赤》』も読んでます。そして他の作品もすべて読んでます。私って凛憧さんの大ファンじゃないですか?(唐突)大好きです!頑張って下さい!応援してます(о´∀`о) (2019年12月6日 22時) (レス) id: 709458c7d0 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - ばと担さん» ありがとうございます!わ、キュンキュンしてもらえてよかったです!嬉しいです、頑張らせていただきます! (2019年7月9日 11時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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