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「あの、ごめんな？
男子苦手やのに、その、手とか握ってもうて」
『あ、いや、はい』
「知らんと思うから言うとくな。
五組の藤井流星です。一応、同い年やで」
『藤井、くん…って、あの藤井くん？』
「どの藤井くんか分からんけど多分そうやと思う」
イケメンで優しくてリアル王子様…とか。
クラスの女子の話をなんとなく聞いていただけだけど多分この人はその藤井くんだ。
確か下の名前は…流星くん？
『あ、私は……』
「Aちゃん、やんね？」
『え？なんで…』
「ふふっ、行こ。なに食べたい？」
自己紹介もなにもしてないのに藤井くんの口から出た名字じゃない私の名前。
私のこと、知ってくれてるんだ。
そのことになんだか嬉しくなって、首を傾げる彼に、笑顔で「りんご飴」と答えた。
「ふは、定番中の定番やん」
『なに食べたらいいか分かんないもん』
「え、来たことないん？」
『来たことはあるけど、あんまり興味なかったから』
「…そうなんや。
ほな俺が楽しみ方教えたるわ！」
『本当に？』
「ほんまに。行こ！」
またさらりと取られた手。
どうやら彼は、手を繋ぐことが得意らしい。
「まずはりんご飴食べよ」
ふわっと笑いかけてくれる藤井くんに私の胸はキュンと音を立てる。
ああ、なんだろうな、これ。
藤井くんが私に笑ってくれる度、胸の奥がきゅうっと締めつけられたみたいになる。
やっぱり、男子苦手なのかな。
「ん？なした？」
『…ううん、なんでもないよ』
すれ違う仲の良さそうなカップル。
私たちも、あんなふうに見えてたりして。
…そんなわけないけど、だとしたらちょっと嬉しいかも。
「おお、いちご飴とかみかん飴もあるで」
『本当だ、初めて見た…
二つのどっちか食べてみたいかも』
りんご飴を求めて来た飴屋さん。
どっちにしようかと迷っていると、隣から「いちご飴とみかん飴ください」なんて声が。
びっくりして隣を見上げれば、にこーっとまるで子どもみたいに笑うから。
また、胸がぎゅっと苦しくなる。
『藤井くん、二つ食べるの？』
「はは、んなわけないやん。
俺もどっちにするか迷ったから、半分こしよ」
出させてくれない財布。
どっち？と聞かれて、はい、と渡されたいちご飴。
ピンク色のリップを塗った唇でいちご飴に口づける。
飴独特の甘い味といちごの香りが広がって、苦手なはずの男の子の隣で、頬を緩めていた。
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凜憧(プロフ) - まさなさん» ありがとうございます。私も今は徐々に自分を奮い立たせてなんとか行ってます…笑 少しでもお力になれるよう、これからも執筆を続けて参ります。 (2019年12月7日 1時) (
レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
まさな(プロフ) - 凜憧さん» あれ、読んでくれてるんですか！？嬉しいです！海の滴のあとがきで泣きました。私も数ヵ月前まで保健室登校だったので、凛憧さんの気持ちが分かりました。いつまでも応援してます (2019年12月7日 1時) (レス) id: 709458c7d0 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - まさなさん» なんて嬉しいことを言ってくださるんですか…！大ファンだなんて、もう泣きそうなくらい嬉しい言葉です… チラッと作品の名前を拝見させていただいたのですが、ままがむかえにこなかった。という作品、私読んでおります！！笑 お互い頑張りましょう！ (2019年12月7日 0時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
まさな(プロフ) - 『海の滴《紫》』も読んでるんですよ。『夏恋注意報《赤》』も読んでます。そして他の作品もすべて読んでます。私って凛憧さんの大ファンじゃないですか？（唐突）大好きです！頑張って下さい！応援してます(о´∀`о) (2019年12月6日 22時) (レス) id: 709458c7d0 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - ばと担さん» ありがとうございます！わ、キュンキュンしてもらえてよかったです！嬉しいです、頑張らせていただきます！ (2019年7月9日 11時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
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