きゅんきゅんありおかくん(Daiki.A) (ページ10)

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#10　間に合わないよ、ページ10

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「大貴っ」
『...』
「ねぇ大貴どうしたの...」

会社とは真逆のほう。どんどん進んでいく大貴に必死についていく私。
握られた手首が少しだけ熱を帯びてる。

なにかしたっけ、ううん、なにもしてない。
大貴になにかしたか、といろいろ考えてるけど全く思い当たる節が無い。

そんなことを考えている間に、いつの間にかついたのは人気の無い路地裏。
といっても大通りを曲がった細い道。

「大貴？」
『ねぇ、なんで山田のこと涼介くんって呼んでんの？』
「頼まれたから...」
『はぁ...なんとなくそうなんじゃないかなーって思ってた...』

ぽりぽり、と頭をかくけど握られた手首はそのまま。
少しだけ強引な大貴ははじめてみたかもしれない。

私より少しだけ高い身長に暑いのか半そでのシャツ。
大貴の手に浮かぶ血管はやっぱり男の人なんだなって思う。

「だめだった？」
『うん、だめだった』
「ごめん...」
『下の名前で呼ぶのは...だめ、』

さっきとは違う、悲しそうな顔で私を見つめる大貴、
絡む視線は少し痛い。

下の名前で呼ぶのはだめって、大貴はなんでそんなこと気にするのかな、
別に、自分の呼びたいように呼んだらだめなのかなー、なんて。

「じゃあ、なにがいいの」
『なにがいいっていうか...』
「...涼介くんは、だめ？」
『だめ。』

まさか、まさかまさか。

大貴、やきもちしてるとかないよね？
ううん、それはないか。さすがに自惚れすぎてる。

「じゃあ山田くんに戻す。」
『それでよしっ!!』
「わっ、大貴重い～」

人目も考えずぎゅっと抱きついていた大貴。
力が強くてなかなか離れてくれない。

「だい...」
『へへ、離しません。』
「もー...」
『このままどこかいっちゃう？』
「だーめ、早くしないとお昼休み終わっちゃうってば」

気分がいいのか少しだけ甘くなった彼は、私を解くなり手を差し伸べてくる。
『繋ごう』。疑問系じゃなくて確信なのはどうしてなのかなって言いたくなるけど。

その差し伸べられた手に優越感を抱く私はきっと、そんな大貴にきゅんときて。
手を重ねてしまう。

『急ぐぞ～！』

外回りで疲れてるはずなのにそんなに元気な大貴を、素直に尊敬するし
その無邪気な笑顔を独り占めしたいと思う私は

大貴にきゅんきゅんしまくりです。

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