きゅんきゅんありおかくん(Daiki.A) (ページ38)

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#38　やっと気づいた？＊Kei ページ38

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あーあ、だめだ。
寝ちゃったよ、この子。

さっきまでグラスでいっぱいだったテーブルは、
親切な店員さんのおかげできれいになった。

寂しくなったテーブルには、レモンサワーとウーロンハイがかわいく並んでる。

・

ていうか、どうしたらいいんだろ。
苦手だってわかってるなら、こんなになるまで飲まなきゃよかったのに。

それだけ、気にしちゃうんだね、
大ちゃんのこと。

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彼女にばれないようにレモンサワーを啜れば、
口いっぱいに広がるレモンのせいで顔をしかめる。

こんなので酔っちゃうなんて、かわいいの。

苦い、と騒いでいたビールも飲み干して、
いつもならお箸でひとつずつ食べる焼き鳥も串ごと頬張って。

よっぽど、不満だったんだろうな。

・

くるり、と振り返り彼のほうを見れば、
やっぱり楽しそうに話している彼。

と、隣にいる女の子。

Aはきっと、あの子にやきもち妬いたんだろうな。
かわいいやつめ、もうアラサーだろ？

・

「あ、もしもし...大ちゃん？」
大貴「いのちゃん、こんな時間に電話とか珍しいね」
「いや、ちょっと飲んでんの」
大貴「へー、誰と？」

大ちゃんに、電話をかけてみても、同じ店に居ることに気づかない。

「Aと飲んでる」
大貴「...え？今なんて」
「お酒の苦手なAと飲んでる、サシで」
大貴「は？嘘だろ？」

ちらっと振り向けば明らかに動揺してる大ちゃん。
なんか、面白いの。

隣にいる女の子は、そんな大ちゃんの顔を伺ってる。
もう、馬鹿だな。

「嘘じゃないし、大ちゃんも飲んでるでしょ」
大貴「ごめん、店ん中だからうるさかった？」
「いや平気、にしても久しぶりに見たわ、楓ちゃん」
大貴「俺も久しぶりなんだけどね...て、え？なんで？」
「いやよーく店ん中みて？」

数秒後、ばちっと絡む目線。
女の子とも目が合った。

大貴「...そういうこと」
「じゃ、俺はA送って帰るわ」

半ば強引に電話を切り、目の前で寝ているAを起こす。

後ろは振り向かない。
だって、関係ないもんね？

・

この後、俺らがなにしようと
口出しできる権利、誰ももってないんだからさ。

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