きゅんきゅんありおかくん(Daiki.A) (ページ28)

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#28　はじめてのお仕事ページ28

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岡本「はじめての仕事は社内でずっと画面を見てるものだと思ってました」

電車の中、一人分しか開いていなかった座席にさりげなく誘導してくれた王子様みたいな岡本くんは、ぽろり、と意外なことを口にした。

「そう？」
岡本「なんかドラマとかは初日にいろいろやらかして上司に怒られるっていうのよく見るので」
「あー...うちはちょっとかわってるからもしかしたら岡本くんのイメージとはかけ離れてるかも」
岡本「そうなんですか？」
「うちは基本、毎日誰かしら外にとばされるよ。社内にいても案なんか浮かぶはずないっていう薮くんの提案でね、いろんな場所にいって、参考になりそうな資料を探すの」

楽しそう、と笑う岡本くんに「ついたよ」と声をかける。
電車代はもちろん経費、でもお茶を買ったりはしない。

私の隣...ではなく少し遠慮して斜め後ろを歩く岡本くんに、今後必要になってくることをたくさん教えたり、
近くのおいしい定食屋さんでご飯を食べたり。

「ここ、エビフライ定食がおいしいよ」
岡本「えび苦手なんです」
「え、そうなの？じゃあとんかつ定食とかおすすめかも」
岡本「それにします！」

少しだけ岡本くんのことも知れた。
えびが苦手なこととか、イギリスに留学したことがあることとか。

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後輩って、もっとこうとっつきにくいものなのかなとか、
たった少ししか年が離れているだけでジェネレーションギャップを感じるのかなとかいろいろ不安だったけど。

岡本くんはふわふわしてるけど仕事には一生懸命で。

岡本「葉月先輩、疲れてませんか？」
「全然大丈夫、慣れてるから」
岡本「ならよかった」
「岡本くんは平気？」
岡本「はい！」

慣れない中、たくさん歩いて疲れてるのは岡本くんのほうなのに気遣ってくれるほど優しくて。

「初めての後輩が岡本くんでよかったかも...くっしゅん」
岡本「俺も、初めての先輩が葉月先輩で嬉しいです」

久しぶりの外回りは驚くほど楽しかった。
帰り際、「またね」と手を振ると私が見えなくなるまでじっとこっちを見てくれた岡本くんが少し可愛く見えて。

思ったより時間がかかって「直帰」にしたことを知らない大貴から
何度も着信が入っていることに気がつかなかった。

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