きゅんきゅんありおかくん(Daiki.A)

#21　一緒に帰ろう？一人じゃ帰れない ページ21

・









薮くんの奢りで店を出た私たち。
ここで解散。







伊野尾『お疲れ様でした〜』







飲みすぎてへろへろになってる伊野尾くん。
それを介護するように支える山田くん。







伊野尾くんは今日、山田くんの家に泊まるんだとか。







薮『じゃ、ここからは各自でお願いね』
岡本『今日は、ありがとうございました！ 明日からよろしくお願いします』







お店を出て、各自で帰りだす。
薮くんと岡本くんは2人で飲みなおすんだとか。







...そうして必然的に残されたのは







大貴『A、送っていってあげる』
「いいよ、大貴酔ってるんだもん」







私と、少し飲みすぎてしまった大貴。
送ってくれるっていっても、そのあとが心配。







「大丈夫だよ」と笑ってる大貴は、
私の手をぎゅっと握って駅のほうへ歩き出す。







少しだけ方向が一緒な私たち。
特に手を解く意味もないかなって思ってそのまま歩く。







子供みたいに繋いだ手を振り回して、ニコニコしてる。
そんな大貴を見ると自然と笑っちゃう。







大貴『やっぱり...』
「なに？」
大貴『ねぇA』
「どうしたの、」
大貴『俺さぁ、飲みすぎちゃったみたい』







目を擦り、少しだけ歩く速さが遅くなる。







「だから飲みすぎないでって」
大貴『一緒に来て？』
「え？...どこに」
大貴『俺んち、電車でひょいっていけるの』







さりげなく、ほんとにさりげなく。
小指から順番に指が絡んでいく。







お酒を飲んでないのにあつくなってくる。
大貴って、いつからそんな顔できるようになったの？







大貴『あ、それともAの家のほうが近いっけ』
「なに大貴...」
大貴『ごめんね、俺一人で帰れないみたい』
「どういうこと...」






迷ってる暇なんかない。
酔ってるはずの大貴は妙にしっかりした足取りで歩いていく。







「ねぇ大貴？」
大貴『へへ...わかんない？』
「わかんない」







悪戯にはにかむ大貴。
大貴がお酒を飲んでるのはあんまりみたことないけど...。







絶対、酔ってないよね。
酔ってるふり、してる。







「大貴、酔ってないなら...」
大貴『酔ってないと一緒に帰っちゃだめなの？』
「そういうわけじゃないけど」









大貴『じゃあ、一緒に帰ろ？』







なにを考えてるのかはわかるの。
でもそれをうけとめたくなくて。







妖艶に笑う大貴が少しだけ怖く見えた。









・

#22　いいでしょ、ここ→←#20　べたべたありおかくん

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す