きゅんきゅんありおかくん(Daiki.A) (ページ3)

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#03　遠くない？遠いよねこれページ3

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『あと何分』
「あと...10分くらい」
『バスは』
「ないよ、終点まで乗ったでしょ？」

私達が目指すABCランド...は
思っていたよりも遠くて。

この蒸し暑い天気にいらいらしながらゆっくりと歩いていく。

『ハッピーランドはすぐなのに』
「そりゃ、近くに何個も遊園地があったら嫌でしょ」
『じゃあ最寄り駅を一緒にすんなよー』
「これもある意味収穫じゃない？遠いってかいといたら？」
『そうする』

シャツの袖をめくって、だるそうに歩く姿は餌を求めて歩く動物みたい。
おかしくて笑っちゃう。

『一番最初、ジェットコースター乗ろうね』
「風、あびたいんでしょ？」
『そりゃそうだよ。』

さっきかった水はすっかりなくなってただのペットボトルになってる。
私の麦茶は、もうぬるくなっておいしくない。

駅からバスに乗って更に歩くってどれだけ山奥にあるの。
ま、それをうりにしてるんだから仕方のないことなんだけど。

大貴はそんなことすっかり忘れてるのかさっきから外回り先の愚痴をたらたら言ってる。
あんまり愚痴とか言わないタイプなんだけどな。

『空中ブランコも乗ろう』
「はい」
『とりあえず風』
「ふふ、珍しいね大貴。熱でもあるの？」
『あるのかもしれない』

近くのベンチにぺたりと腰を下ろした大貴。
もうすぐだよ、そういっても動こうとしない。

ほんとに熱があるのかもしれない、と大貴のおでこに手を当てる。
けど、そんなに熱くないから熱はないかな。

自動販売機があればきっと回復すると思うんだけど。
きょろきょろと周りを見て、それらしきものはないかと探す。

「...わっ」
『へへ、つめたーい』
「私は暑い」

そんな私にお構いなしに、私の手をとって自分のおでこにあてる大貴はほんとに自由人。
私、大貴のために探してあげたのに。

とりあえず、満足してくれたからいいかな。
ニコニコ微笑んで体力を回復させてる大貴に励ましの言葉をかけて、元気になった大貴と一緒にABCランド目指して歩く。

『送迎バスがあればいいね』
「いいこというじゃん」

大貴は、元気があれば冴えてるだけど元気がないとただの使えない人。
ま、そんなところが大貴らしいんだけどね。

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