きゅんきゅんありおかくん(Daiki.A) (ページ19)

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#19　から揚げとレモンとパセリページ19

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薮『岡本を歓迎して...乾杯!』

カラン、とグラス同士がぶつかり合う。

お料理がおいしいことが評判の、近所の少し小さな居酒屋。
薮くんのお友達が経営しているらしく、急な予約も快く引き受けてくれた。

枝豆にから揚げに焼き鳥にちょっとおしゃれなバーニャカウダまで。
いろんなおつまみとお酒がテーブルに並んでいる。

主役の岡本くんはもちろん真ん中、私の隣に座っている。
両手で大事にグラスを持つ姿は、成人して初めてお酒を飲む子みたい。

岡本『これおいしい！』

お酒を一口、口に流し込みから揚げを食べる。
両頬いっぱいにつめて笑ってる。

岡本『葉月先輩も食べますか？』
「え、いいの？」
岡本『どうぞ』
「ありがと...」

私から見て一番遠いところにあったから揚げのお皿。
それをひょいと私の前に差し出す。

そのお皿の真ん中。伊野尾くんがかけたレモンの残りが、丁寧にから揚げの上にのっている。
そんなレモンを岡本くんは

岡本『あ、のけますね。』
「ありがと」
岡本『このから揚げ、すっぱそう～』
「ふふ、確かにそうかも」

さりげなく、ひょいとお皿のすみによせた。
誰にも食べられないかわいそうなパセリの隣。

岡本『先輩はレモン、かける派ですか？』
「ん～、レモンがあったらかけちゃうかも」
岡本『ふふ、一緒ですね』
「岡本くんはパセリ、食べる派...ですか？」
岡本『ん～、誰も食べないんだったら食べちゃうかも？』

そういいぱくっとパセリを食べる。
『味がよくわからない』そういいながら眉をさげる。

岡本『あ、先輩焼き鳥もありますよ』
「ありますね、おいしそう」
岡本『ここのお店の料理はどれもおいしそう』
薮『だろ？来たくなったらいつでも言えよ！』
岡本『はい！』

薮くんが岡本くんの肩を抱く。
その瞬間、ぐらりと反対へいってしまう岡本くん。

岡本くんが右手で持っていた焼き鳥がことん、とお皿の上に戻る。
けど、そんなことを気にしないで薮くんと話す岡本くん、もう打ち解けてるみたい。

少し寂しくなった両隣。
ちびちびとウーロン茶を飲む。

大貴『おじゃましま～す』

そんな時、ひょいと空いていた私の右隣に大貴が座る。

大貴『久しぶりだね、Aと飲むの。』

彼は悪戯にそう口にした。

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