きゅんきゅんありおかくん(Daiki.A) (ページ16)

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#16　契約社員です、どうもページ16

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薮『おい、今何時だと思ってんだ、まだ4時前だぞ』
伊野尾『うげっ、薮ちゃんだぁ』

いつしか目をぱっちりとあけた伊野尾くんはそのマシュマロみたいなふわふわした頬をあげて、薮くんに微笑んだ。

薮『4人集まったら周り見えなくなるの、ほんと変わんないからある意味尊敬する』
「ありがとうございます」
薮『はは...褒めてない』
「ですよねー、すいません」

きょろっと横長の目の瞳がよっただけで少し怖く見える薮くん。
久しぶりに話をしたな。

というか久しぶりに5人揃ったのかも。
いつも顔は合わせるけど朝礼だけですぐにわかれてしまうし。

そう考えると、多少怒られても今の時間は貴重だからかみ締めておこう、と
シャルロットを食べ終えたばかりの口をきゅっとつむぐ。

薮『そうそう、この時間にいうのもあれなんだけど、みんなにいい知らせがある。
そのために今日は山田たちも直帰じゃないし、有岡たちも仕事の量を少しだけ減らしてたんだけど』
大貴『え、A、仕事の量減ってた？』
「ううん、全然、いつも通り」
薮『ほらそこ、私語はいいからとりあえず席について』

妙に口角があがっている薮くんに従う私たち。
すると薮くんは廊下に続くドアのほうへと歩いていく。

その動きをじっと目で追いかけていると、ふと目に映りこんだ知らない人。
ドアノブをぎゅっと両手で握っていて、緊張しているのがガラスのドアごしに伝わってくる。

きゅっと結ばれた少し長い髪に頼りなさそうに見えるさがったまゆげ。
スタイルがいいかも、なんて思ったのはたぶん、大貴と山田くんよりも背が高いから。

薮『岡本、はいってきていいよ』
岡本『はい、失礼します』

岡本、そう呼ばれた彼はおどおどしながら、引くはずのドアを一度押してから部屋に入ってきた。
わいわいとうるさかった課の部屋が、しん、と静まる。

その空気にのまれてしまったのか、少し俯いた彼は
おろしたての皺一つないスーツを身にまとっていた。

岡本『契約社員として今日からしばらくの間お世話になる、岡本圭人です。
歳はえっと、23歳、遊園地、好きです。よろしくお願いします』

きち、っとお辞儀する彼にパチパチ、とまばらな拍手を送る。
挨拶を終えてほっとしたのか少しだけ口角をあげた彼。

一瞬、目があった。

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