きゅんきゅんありおかくん(Daiki.A) (ページ1)

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#01　外回りにいこうページ1

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『じゃあ今日は...葉月と有岡。』

そこそこ有名な、でも決して大きいわけじゃない会社。
その会社の娯楽施設課。

今日も私は外回り。

『えー、またですか？』
『そんなに外回りが嫌なの？』
『そんなわけじゃないですけどー』

私の隣で、くるくるとペンを回しながら課長に問うのは
高校からの知り合いの有岡大貴。

たまたま大学が同じになって、たまたま内定を貰った会社が同じで
たまたま同じ部署に配属された。

...運命的な出会いっていうわけでもないけど、
一応、甘酸っぱい思い出を共有している。

「もう飽きちゃいました」
『んねー』
『仕事だろ』

がんばってこいよ、と私達の背中をおしてすがすがしい顔でデスクに戻るのは
私達の課の課長。薮宏太。

あんまり年がかわらないのは、この課が成立してまだ少ししか立っていないから。
それなのに、私達を引っ張ってるって言うか下っ端みたいに扱う。

顔だけがとりえの課長。

「焼けちゃう。」
『サンサンカット買ってこよっか！経費で！』
「そうする！？」
『お前らなに考えてんだ』

私達、これで何日目っていうくらい外回り。
毎日暑いし同じようなところばっかりだし飽きてきた。

最初は、なにもかもが新鮮でむしろ外回りしたいくらいだったのに。
ちらっと隣を見るとふてくされてる大貴。

『いこっか。お昼ごはんいいもの食べよ！経費で！』
『だからお前！経費の無駄遣いするな！』

私と大貴の名前の欄の隣に「外回り」と雑な字で書かれた。
これを見るのも何度目。

社内には、ふふって笑いながらトマトを頬張る伊野尾くん(大貴が下の名前で呼ばせてくれない)と
いってらっしゃいと私達を見送る山田くん(こっちも下の名前で呼ばせてくれない)。

『いいよなーあいつら。いつも涼しいところでのんびりしてんだもん』
「ほんと、たまには日に当たったほうがいいよ。」
『はは、そこ気にする？』
「気にするよ。だって伊野尾くんすごく肌しろいんだよ？もやしみたい」

涼しいオフィスを出ると、私達を襲うもわっとした湿気の多い空気。
こういう天気ってやる気でないの。

『外回りでいいことは、Aとずっと二人きりってことだけ!!』
「...なにいってるの」

でも、冗談でもこういうことを言ってくれるから
なかったやる気がどんどん沸いてくるの。

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