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Aside
第2セット終盤。1セット目は私達が取り、順調だった。勝てると思った。でも────。
マサミ「ハァ、ハァ……ねぇ、Aちゃん」
A「……何?」
マサミ「あのさ、もう、やめてくんない?」
A「……え」
マサミ「天才がさ、居ると目立って私達が霞むんだよ。正直言って、“邪魔”」
A「…っ!!」
マサミ「だから、この決勝は私達がやらせてくんないかな?」
A「……」
アユコ「お願いできる?Aちゃん」
ワンリ「頼むわ…」
マサミ「マジで天才とか良いよね。凄いだの、なんだの、チヤホヤされちゃってさ」
アユコ「それなー」
ワンリ「羨ましいわ」
A「…………」
マサミ「天才とか、マジで“いらない”から」
A「…っ!!!」
でも、その先に──
誰も居なかった
本当に“ いらない ”と
“ 邪魔 ”なのだと
そう、間接的に言われたような気がした
そこで、笛が鳴る。選手交替の合図。札には、私の背番号の“1”という数字が。あぁ、替えられる…本当に私はいらないんだ、と、そう思った。
監督のもとへ向かうと、思いがけない一言が発せられる。
監督「まぁ、あの子達にとって最後の大会だからね。しょうがないよ。我慢したまえ。あの子達の将来にも関わる」
そこで、完全に私の“何か”が崩れた。
A「……私、もう出ますね」
監督「え?何を言っているんだ」
A「……だって、いらないのでしょう?なら、ここに居る必要はない。それに、もう私がここに居る意味はないので。…失礼します」
監督「あ!待ちたまえ!A!」
私は会場を出た。急に出ていったから、会場に居た人達は不思議に思っただろう。天才がベンチに下げられた、会場を出ていった、そんな噂が出回るかもしれない……そんなことを考える程、私に余裕なんて無かった。
会場を出てロビーを歩く。決勝戦だけあって、ロビーに人は居なかった。皆、観客席で見ているんだろう。
A「(…いらない…邪魔…)……うるせぇよ。……「あの子達の将来にも関わる」?私だって、将来に関わるし…私にとっても最後の、大会だったのに…。…………クソ。
──バレーなんて、やめてやる…。だい、きらいだ…」
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悠月(プロフ) - すみませんよろしければ、1を読んでみたいのですが、パスワード?って教えて貰えるでしょうか、、 (4月12日 20時) (レス) id: 803f5cdc93 (このIDを非表示/違反報告)
大福モチ(プロフ) - 雪❄さん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけて嬉しいです!!頑張りますので、よろしくお願いします!! (5月21日 22時) (レス) @page35 id: 80560d8d1d (このIDを非表示/違反報告)
雪❄ - この作品好みすぎて一気読みしてしまいました。 応援📣しています! (5月21日 20時) (レス) @page32 id: 83a165df4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:大福モチ | 作成日時:2023年5月18日 2時