やぶひか短編*° Part5

遅いよ　八乙女さきさんリクエスト ページ17

*やぶひか高校生になりたて


薮side


「ね〜、どこからきたの？」

「彼女いるの？」

「わ、手が大っきいね！腕も長い！」


俺とは少し離れた教室の後ろで騒がしくそいつの回りに集まる人だかり

そいつが立っただけで周りが集まってきたのだ


「ね！聞いてる？彼女いる？かっこいいね？」

「ちょっと！私も話してたんだけど！」

「なー、薮君って言うの？仲良くしようぜ！」


ちなみに俺の机にも同じ程の数の人が集まっている


薮「あー、よろしく……それと、彼女いないけど好きな人はいるから、じゃあ」

「えぇー、ショック〜！」

「まじ？よろしくなー！」


席を立ちながらそう言うと後ろで騒がしい声が聞こえる

そこを離れてそいつを取り囲む人だかりに俺も交じり、人をほとんど強引にどかしながらそいつの前で止まった


光「遅いっ」

薮「ごめんって」


俺が目の前に立った瞬間抱きついてきたのはひかる


薮「怖かった？」


そう聞くとコクコクと頷いてぽかぽかと俺の肩をグーで叩いてくる


薮「そっか、ごめんごめん」

光「ん、苦しい」

薮「お前が叩くからじゃん」

光「だって遅いんだもん、守ってくれるんじゃなかったの」

薮「ごめんって」


苦しいと押し返されるほど抱きしめれば怒ってるんだからね！と睨みつけられる



背中に回された手を取って首に誘導すれば素直に首に巻き付いてくる腕


光「次一人にしたら許さない」

薮「許さなくていいけど俺以外に誰かいんの？妬くんだけど」


そうおどけて返すと本気で睨まれる


光「やぶなんて大ッキライ」

薮「そんなこと言っといて離れないよな」

光「ほんとに嫌い」


そういうひかるの手をするすると解いて離れようとすると痛いほどにぎゅっと手を掴まれる


薮「ひかる、痛いよ」

光「…………」


潤んだ目で見上げてきて、俺が弱いの知ってるくせに


薮「わかったから、そんな顔すんな」

光「ん」


抱き寄せるとふわっと笑った

その日のうちに俺らの噂が広まったのは言うまでもない


《あいつらは付き合ってるかもしれない》


案外噂だけじゃなかったりして………？



薮「……とか思ってんのは、俺だけなのかな、ひかる」

光「なにが？」


俺の股の間で大人しく俺にされるがままのひかる

髪に手櫛を通して細い腰に腕を回してこちらに引き寄せ首元に唇を寄せた


ちゅっと触れるだけのキスを落としたがひかるは気付いていない



光「ふふふ、くすぐったいよ」



俺の想いにも……


END

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