大悪魔 ２３ ページ27
私は、まふの記憶をじっと見つめる。
『まふ』
ま 「どうしたの？」
『さっきあの人の心の声聞いたんだけど』
『「これください」って言った後が「やだイケメン♡」で
私が話しかけた後は「チッ、彼女持ちかよ…」だった』
ま 「人間って怖い…」
『まふも人間でしょ』
ま 「そうですけど…」
『でもまふはそんなに汚れてないよね』
ま 「え？どう言うことですか？」
『さっきの人みたいに何かあったらすぐ態度が変わる人じゃないよね』
ま 「…そんなことないですよ」
『そう？じゃあまだ知らないまふがいるんだ』
『まふ？』
ま 「振り向いてもらえるのかな…」
『……』
『…なんでだろう、そんなに月日は経っていないのに…、
とても、昔のことに思える…』
まふの記憶はとても綺麗。
他の人間達の記憶は、酷く歪んでいる。
『…ほらね。まふの記憶は、全然汚くない。まふが綺麗ないい子だから』
…だからこそ、私という悪魔が、彼を汚してしまったのだ。
『でも、まふは凄いね…、汚れている記憶なのに、こんなに綺麗なんだもん』
静かな部屋に、私の声だけが響く。
『…っ、まふ…』
まふのことを考えるだけで胸がいっぱいになって、壊れそうになる。
『…誰か…、私を助けて…っ…』
カタッ…カタカタッ…
『ぇ…？』
どこかで音が鳴っている。
『…な、なんで…、どうなってるの…？』
音の正体は、瓶に入ったまふの記憶だった。
記憶は、瓶の中で激しく揺れ、音を立てている。
『…もしかして、戻ろうとしてるの…？』
…取られた記憶が自分で戻ることなど、あり得ない。
だが、今目の前で、起きている光景は、正しくそれだ。
『…っ、だめ…、代償は、絶対なの…っ！』
代償は与えたものと引き換えに貰うもの。
それをこちらが無償で返すなど、あり得ないのだ。
『
カタカタッ…カタッ…
ピタッと音が止まる。
『…はぁ、はぁ…。…よかった…』
この記憶は、まふには要らない物だから。
『…危ないから、ちゃんと棚に入れておかなきゃ…』
瓶を手に持ち、代償でいっぱいになった棚に入れる。
『…まふ…』
そう呟いて、棚の戸を閉める。
『…もうここに用はない…、戻ろう』
私は、この部屋を出た。
…まふの記憶が、少しずつ、少しずつまふに戻っていたことを知らずに。
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織姫 - 三國おと♪さん» おとさん！いっぱい見てくれてありがとうございますー！時間見つけて更新するのでお待ちください！でも頑張ります！ (2018年12月28日 0時) (
レス) id: 4778a94982 (このIDを非表示/違反報告)
三國おと♪ - 大王だって？じゃあお姫様じゃんw頑張ってください！ (2018年12月17日 21時) (レス) id: bd02d20487 (このIDを非表示/違反報告)
織姫 - リノさん» 返信がだいぶ遅れてしまい、申し訳ありませんでした。ありがとうございます！更新できるように頑張ります！ (2018年7月10日 23時) (レス) id: 4778a94982 (このIDを非表示/違反報告)
リノ - 面白かった。続き読みたい。 (2018年6月7日 21時) (レス) id: 09f301a4a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：織姫 | 作成日時：2018年4月6日 9時
